撮影所スタッフは1500人にのぼり、制作チームは11
北朝鮮がアニメ制作に力を入れる理由は、単に文化的側面にとどまらないようだ。前出のパク氏は、
「フランス、イタリア、中国、スペインなど多くの国と合作、交流を活発に行っている」
と、交流の幅の広さに胸を張るが、この「合作」は、実は「国外から受注したもの」というのが実態のようなのだ。
撮影所の元職員で脱北者のチェ・ソングクさんが11年7月9日付けの中央日報に寄稿したところによると、動画部分は北朝鮮で制作して国外の会社に納品するが、音は納品先の国で収録する。このため、作品は「北朝鮮と納品先の国との『合作』」だと強弁しているようだ。撮影所のスタッフは1500人にのぼり、制作チームは11あるという。そのうち、北朝鮮国内向けのアニメを担当するチームは2つで、残り9チームが海外向け。完全な「輸出産業」であることがわかる。主な納品先は、フランスやイタリアで、年間に800万ドル(約6億2000万円)ほどの外貨を稼ぐという。
撮影所の職員には、それなりの技術が必要だが、待遇は
「やる仕事が違うだけで月給は他の職業と変わらない。ひと月に本人の食糧と肉1キログラム、砂糖1キログラム、食用油1本を受け取る。これに1ドル相当の北朝鮮貨幤を現金で受け取る」
と、あまり恵まれていないようだ。