苦戦続きの「グーグルテレビ」 それでも会長「超強気発言」の真意

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   米グーグルが開発したインターネットテレビは、発売から1年が過ぎた、当初は話題をさらった「グーグルテレビ」だが、爆発的なヒットには至っていない。

   大手テレビ局の協力が得られないことが響いて、今ひとつ消費者に訴求しきれない。それでもグーグル会長自ら「超強気」とも思える発言が飛び出した。

米ソニーは販売価格を400ドル値下げ

専用ウェブサイトでアピール
専用ウェブサイトでアピール
「2012年夏までに、店頭に並ぶテレビの大半はグーグルテレビとなるでしょう」

   フランス・パリで開催されたテクノロジーカンファレンス「LeWeb」に出席したグーグルのエリック・シュミット会長は現地時間2011年12月8日、大勢の聴衆を前にこう明言した。

   グーグルテレビは、基本ソフト(OS)「アンドロイド」やウェブブラウザ「クローム」を軸に、テレビ番組の視聴に加えてネット接続による検索やウェブサイトの閲覧なども可能にしたものだ。2010年10月中旬、米国でソニーが最初にグーグルテレビ受像機を発売した。スイスのパソコン周辺機器メーカー「ロジテック」も、通常のテレビにつないでグーグルテレビの機能を使うためのセットトップボックス(STB)を販売している。

   グーグル「肝いり」の事業といえるが、これまでの売れ行きは好調とは言えない。大きな原因のひとつは、ABCやNBC、CBS、FOXという米大手ネットワーク局の対応だ。各局がウェブサイトで公開している番組動画を、グーグルテレビでは視聴できないようにブロックをかけた。

   そのためか、ソニーは発売後に値下げに踏み切っている。当初、32型テレビは799.99ドル、40型は999.99ドル、46型は1399.99ドルだった。米ソニーの通販サイトを見ると、最新価格は32型499.99ドル、40型799.99ドル、46型999.99ドルとすべて割引となっている。46型に至っては400ドル(約3万円)のディスカウントだ。

   一方ロジテックは11月11日、公式ブログで「グーグルテレビSTBの後継機は製造しない」と、事業そのものからの撤退を明らかにした。発売からわずか1年1か月での決断だ。海外メディアは、ロジテック会長がグーグルテレビへの参入について「失敗だった」と認めたとも報じている。

OEM契約を取り付けたか、単にばかげた話か

   それでもシュミット会長が、これから半年ほどでグーグルテレビが市場を「席巻」するような発言をしたのは、勝機を見いだしたからだろうか。韓国サムスン電子やLG電子がグーグルテレビを発売するとの報道もある。だが米ウォールストリートジャーナルのITブログ「オールシングスD」は12月8日付の記事で、LGとシャープ、蘭フィリップスの3社が9月にネットテレビ向けソフトの共同開発を発表しており、サムスンも独自OSを用いたスマートテレビを手掛けていると指摘。そのうえで、シュミット会長の強気発言に「本当だろうか」と前置きしてから、

「我々の知らないところで既にグーグルテレビのOEM(相手ブランドによる製造)契約を複数取り付けたか、もしくは単にばかげた話をしたに過ぎないかだ」

と結論付けた。

   「LeWeb」では、8月にグーグルが米携帯電話大手のモトローラ・モビリティ買収を発表したことを踏まえて、「今度はテレビ事業を買収するのでは」との質問が出た。これに対してシュミット会長は、「以前、グーグルは冷蔵庫ビジネスに参入する、などと言われたが根も葉もない話だった」と苦笑しながら、

「私が知る限り、(テレビメーカーの買収は)社内で1度も話し合われたことはありません」

と完全に否定した。

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