スマートフォンと並んで急拡大するタブレット型端末市場に、「格安」の波が押し寄せた。7インチ型端末が3万円を切る値段で発売される。
仕掛けたのは中国ソフトメーカーだ。同じサイズの端末は韓国サムスン電子の「ギャラクシータブ」など激戦区だが、どこに勝機を見いだしたのか。
解像度や内蔵カメラの画素数は、ギャラクシー上回る
インターネットのセキュリティーソフトなどを開発するキングソフトは2011年12月8日、7インチ型タブレット端末を2012年1月に発売することを明らかにした。キングソフトは中国ソフトメーカー大手「金山軟件」の子会社で、新型タブレットはキングソフトが設立する新会社「モバイルインスタイル」が手掛ける。
「エデンタブ」と名付けられた端末は、2万9800円と他の7インチ型と比べて価格を抑えた。例えば「ギャラクシータブ」の現行品の場合、NTTドコモのウェブサイトでは分割支払い総額5万1408円となっている。ほかの製品は、価格コムを見ると東芝の「レグザタブレット」が最安値で3万9996円、シャープ「ガラパゴス」が同3万4989円だ(いずれも12月8日現在)。画面の大きさは違うが、ソフトバンクモバイルが販売する米アップルの「iPad2」は、16ギガバイトの無線LAN・3Gモデルで5万6640円かかる。
同サイズのタブレット市場では後発となるだけに、「低価格でありながら高性能、を訴求していく」とキングソフト広報は話す。画面解像度や内蔵カメラの画素数は、7インチ型ギャラクシータブをも上回る。価格面で対抗する他社製品はあっても、メモリーなどの性能でエデンタブが勝る。軽量化を追求して重さ348グラム、横幅11.8センチとしたのは、女性をターゲットに据えているためだ。
一般消費者だけでなく、企業向けにOEM(相手先ブランドによる製造)での提供も視野に入れる。例えば女性ユーザーを多く抱える会社が、キャンペーンで「プレミアム会員」に端末を配り、販促効果を上げるといった利用法が想定できそうだ。顧客企業側にとっては、コストを抑えてオリジナルの端末をつくることができ、またキングソフトも、まとまった数の端末を受注しやすくなる。