年末年始にかけて日本航空(JAL)に引き渡される次世代中型旅客機のボーイング787型機について、かなり早い段階で「スタジオジブリ特別塗装機」が登場することがわかった。
2007年の段階で初号機のデザインが公募され、宮崎駿監督が監修した完成予想図まで公開されていたが、経営破たんを経て機体のデザインを「鶴丸」に一新したことから、一部航空ファンからは「お蔵入りするのでは」との声もあがっていた。
国内の小学生を対象に初号機のデザインを募集
JALとスタジオジブリは1992年に、映画「紅の豚」を共同で制作し、07年には787の導入を見越して「『空を飛ぶ。』プロジェクト」を発足。国内の小学生を対象に初号機のデザインを募集し、全国から約1万3400点の応募があった。最優秀賞1点と優秀賞6点が選ばれ、宮崎駿監督と受賞者の作品を組み合わせた機体のイラストも公表されていた。
この時点では、787は08年度中にJALに引き渡される予定だった。ところが、設計ミスや部品の納品遅れで開発スケジュールが大幅に遅延し、世界で初めて787を導入した全日空(ANA)ですら、実際に機体が引き渡されたのは11年9月末のことだった。
この3年の間に、JALは会社更生法の適用を申請して経営破たん。経営破たんから丸1年が経った11年1月19日には、「新生JAL」のシンボルとして、「鶴丸塗装」を復活させることが発表された。
「JAPAN AIRLINES」の文字が、窓の上の大きなスペースを占める
それ以降、記者会見や787の特設ウェブサイトで見られるデザインは「鶴丸塗装」のものばかりで、公式の場で「ジブリ塗装」が話題にのぼることはなくなった。このことから、「お蔵入り」の可能性も指摘されていた。
ただし、JALが提供しているラジオ番組「JET STREAM」(TOKYO FM系列)内のCMや、JAL本社2階の受付前にある展示コーナーでは、ジブリとのプロジェクトについて紹介され、プロジェクトが存続していることは明らかだった。
JAL広報部によると、「ジブリ塗装」の準備自体は進められているという。「鶴丸塗装」は、「JAPAN AIRLINES」の文字が窓の上の大きなスペースを占めるデザインだ。このため、当初のデザインからイラストのレイアウトを変更した上でお目見えする予定だという。
787初号機が予定通り「ジブリ塗装」になる可能性も
JALは短期間に複数の787を受け取る予定で、
「初めて日本に到着した機体なのか、初めて営業飛行をした機体なのか、何をもって『初号機』とするかは微妙」
と、はっきりしない。
「ジブリ塗装」についても、
「早い段階で導入する。あらゆる可能性がある」
と含みを残しており、初号機が当初の予定通り「ジブリ塗装」になる可能性も残されている。
787の具体的な導入スケジュールについては、大西賢社長が11年10月時点で、
「クリスマス休み、年末年始があるので、年を越えることも想定の範囲」
と明らかにしており、12月8日の定例会見で、さらに具体的な発表がある予定だ。