米国務省の機密公電などの極秘情報を大量に公開したことで世界的な注目を集めた内部告発サイト「ウィキリークス」の創始者で編集長を務めるジュリアン・アサンジ代表は、英国で保釈中だが、その身柄をスウェーデンに引き渡すかどうかの判断が同国の最高裁判所にゆだねられることになった。
同代表はスウェーデン女性(複数)に性的暴力をふるった疑いで滞在先のロンドンで1年前に逮捕され、スウェーデンの検察当局への身柄送検をめぐって法廷闘争を続けてきた。2011年12月5日英国の高等法院(高等裁判所に匹敵)は、最高裁判所が最終決断を下すべきとの判断を示した。
一審では治安判事裁判所がスウェーデンへの移送を認める判断を下し、これを不服としてアサンジ代表は高等法院に上訴。11月、同院は一審判決を支持して引き渡しを認めたが、容疑者は最高裁への上訴を求めた。今回の高等法院の判断では、同代表は最高裁判所に上訴する権利があるとして、最上位の裁判所である最高裁判所が最終的な審理をすることになった。
高等法院によれば、1年前にアサンジ代表が逮捕された際にスウェーデンの司法機関ではなく検察当局から逮捕状が出たことが問題視される可能性があるという。
アサンジ代表は2週間以内に最高裁判所に控訴状を提出する必要がある。そのあとで裁判所は代表の訴えを審理するかどうか決断することになる。
アサンジ代表は記者団に「これは正しい決断であり、感謝している。正義の戦いは続く」と語った。同代表は容疑をすべて否定している。
(在米ジャーナリスト 石川 幸憲)