日本で開かれていたワールドカップ(W杯)バレーボール男子で、「日本独自ルール」に問題点を指摘する声が出ている。日本戦に限っては、試合中の休み時間が他の試合よりも長く、異議を唱える声が出ているのだ。
少なくとも5年以上は、この運用が続いており、テレビ局の中継の都合だとされる。ただし、それでも日本チームは惨敗しているのが現状だ。
テクニカルタイムアウトが日本戦だけ30秒長くなる
大会は2011年11月20日から12月4日にかけて、鹿児島、熊本、浜松、東京と場所を移しながら開催され、12チームが参加。優勝したロシアに加えて、ポーランド、ブラジルが12年のロンドン五輪行きを決めた。
大会の運営をめぐって批判の声をあげたのは、9位だったイランのジュリオ・ベラスコ監督だ。ベラスコ監督はアルゼンチン出身で、イタリアチームを強豪に育て上げたことでも知られている。ベラスコ監督が問題視しているのが「テクニカルタイムアウト」という仕組み。対戦チームのうち、どちらかが8点・16点を先取した際に、それぞれ自動的に試合が止まるようになっている。報道陣向けに配布された「メディアガイド」では、テクニカルタイムアウトの時間は60秒だとされているが、日本戦に限っては90秒にわたって試合が止められている。
この運用は、日本も相手チームも条件は同じだが、12月5日に共同通信が報じたところによると、ベラスコ監督は、
「これは五輪予選なので、全てのチームが同じ条件でやらないといけない」
などと批判を展開したという。
特別運用は「日本優遇」が目的ではない
実はこの運用は、06年頃からたびたび行われている。試合を中継する民放テレビ局が、より多くCMを入れられるようにするための配慮で、「日本優遇」が目的ではないとされる。だが、06年時点でも、外国チームからは「集中力を保つのに苦労した」といった声があがっていた。
また、共同通信が11月28日に報じたところによると、11月27日18時20分から第3試合(対日本戦)を戦ったエジプトチームが、翌11月28日11時からの第1試合(対エジプト戦)に臨んだことについて「この休養時間の短さでは十分な集中力が保てない」と反発したという。これは、日本戦が全て18時20分スタートに固定されていることが原因だが、放送時間帯への配慮が背景にあるものとみられる。
W杯主催するのは、国際バレーボール連盟(FIVB)。4年に1回開かれるW杯は1977年以降、日本開催が続いており、FIVBの収入の大半が日本のスポンサーによるものとみられる。そのうち、多くを占めるとみられるのが、テレビ放映権料だ。このため、「日本の民放が世界のバレーボール界を潤している」面があるのも事実だ。
なお、日本の今回のW杯の対戦成績は2勝9敗で、12チーム中10位。「ここまでしても勝てないのか」との声もあがっている。