病気やけがで年間3兆3千億円が消えた 「日本の経済的損失」判明

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   外資系の約1千社が加わる経済団体の在日米国商工会議所 (ACCJ)は2011年11月25日、記者会見し、病気やけがによる日本の経済的損失は年間約3兆3千億円にのぼるとの試算結果を発表した。

   同時に、日本のヘルスケアの現状を分析し、検診や予防医療により経済的損失を軽減すべきだとする日本政府への提言をまとめた白書も公表した。これだけ大がかりな調査と提言は初めてで、大きな反響を呼びそうだ。

精神病だけで1兆円の損失

   ACCJは11月初め、日本の現状に合わせて年齢や地域を選んだ5千人を対象に、経済的負担や病気予防に関するインターネット調査を実施した。病欠や能率低下、過去の転職理由となった病気などを聞き、米国で使われた方式で計算した結果、本人の病気で年間2兆円、家族の病気で1兆3千億円、合わせて3兆3千億円の間接的損失になった。本人分は1兆円が精神病、3700億円が腰痛などの痛み、の順だった。米国のデータでは、総損失のうち、こうした間接的損失が76%を占め、直接的な医療費は24%となっている。

   質問は多岐にわたるが、今後不安な病気は1.がん、2.腰・首・肩の痛み、3.脳卒中、4.インフルエンザ、5.糖尿病、の順で多く、8割は食べ物の塩分や脂肪などに気を使っていた。4割は複合ビタミン剤、ビタミンC、コラーゲン、ビタミンB、カルシウムなどのサプリメント(健康食品)を利用していた。また、過去1か月の間にレベル5(最悪を10として) 以上の痛みを感じた人は2割もおり、その4割は1年以上も続いていた。レベル5以上の痛みの半数は診療を受けており、6割は新しい治療法を望んでいた。

   白書は、喫煙や栄養などの健康増進、ワクチンやがん検診などの病気予防、院内感染防止など27テーマに分類され、電子カルテの普及、脳卒中予防法の制定、子宮頸がん検診の義務化、結核の新検査法の普及、失明予防のための眼科検診の充実など、テーマごとに日本政府に具体策を提言している。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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