スペイン、大学の無償化や最低賃金の引き上げなどが響く
一方、経済協力開発機構(OECD)はスペインの2012年の国内総生産(GDP)見通しを前年比0.3%増とし、11年5月予測の1.6%増から大幅に下方修正した。11年の成長率も0.7%と、これまでの0.9%から引き下げたほか、10~12月期(第4四半期)はマイナス成長を予想している。
現在、スペイン国債(10年物)の金利水準が「危険水域」の7%に迫っており、「国債利回りが一段と上昇した場合、借り入れコストが上昇して不動産危機を長引かせる可能性がある」と指摘し、2012年の経済成長は低水準にとどまり、また来年の失業率は22.9%に上昇するとみている。
スペインは2004年に大学の無償化、その後も最低賃金の引き上げや無償保育、健康保険の適用の拡大などの施策を立て続けに実施した。しかし、結果的にタダで大学は行った学生らが就職できずにいて、その怒りがデモとなって現れてサパテロ政権は倒れたわけだ。
とはいえ、いま以上に失業率が上昇して失業者への公的給付が膨らむと、財政再建も思うようには進まなくなる。それどころか、公的給付そのものがこれまでのようには機能しなくなる心配がある。