民主党税制調査会(藤井裕久会長)が11月28日の総会で、2012年度税制改正に向けた重点要望をまとめ、政府税調に提出した。政府・民主三役会議が12月上旬に税制改正大綱を決定する。
党税調の要望の目玉は自動車取得税(地方税)と自動車重量税(国税)の廃止・見直し。2税を廃止すれば総額9000億円の税収が失われるが、党税調は代替財源を示していないため、財務、総務両省は反発しており、議論は難航必至だ。
自動車業界オールキャストで「圧力」
自動車2税については、円高や産業空洞化対策の観点から経済界が強く廃止を要望し、税制改正の焦点に急浮上した。11月7日には自動車工業会などが会見。志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)以下、豊田章男トヨタ自動車社長、伊東孝紳ホンダ社長ら"オールスターキャスト"が勢ぞろいしたほか、自動車総連の西原浩一郎会長らも同席し、文字通り業界を挙げてのデモンストレーションとなった。
業界は「車体課税」の負担が欧米の2~49倍にのぼり、国内販売が低迷する大きな原因と指摘しており、特に歴史的円高の中、減税で国内販売をてこ入れし、輸出のマイナスを補う必要を強調。豊田社長は「(このままでは)日本のもの作りは空洞化どころか崩壊する」などと訴えた。
業界の圧力を受けて民主党内がヒートアップしている格好で、28日の党税調総会後の政府税調全体会合でも、中野寛成・党税調会長代行が「早急(な廃止)というところを改めて強調させていただく」と述べた。
だが、すんなり実現できる情勢にはない。何より、2税で計9000億円という大きな税収の穴があくだけに、財務省や総務省は「代替財源とセットで提起してもらわないと議論できない」(川端達夫総務相)と強く反発している。