ニコニコ生放送で、出産の様子が生中継された。動画共有サイトに出産シーンが投稿されることはあったが、生中継されるというのは極めて希で、数万人が視聴するなど大きな話題となっている。
ニコニコ生放送では一定の知名度を持ち、普段はコスプレ姿で生放送を行っている30代の男性ユーザーが2011年11月29日、昼過ぎから配信した。「ニコニコ分娩室」というタイトルだ。
「おめでとおおお!」「なんか泣けてきた」
陣痛が本格的に始まる前から放送が始まり、病室で看護師が男性の妻に点滴を打つ様子などが映し出された。男性や妻、病院スタッフの顔もしっかり写っている。
4時間ほどたってから陣痛が激しくなり、妻の頭部後方に置かれたカメラからその様子を中継。看護師が「押し出す感じ。背中丸めて、ふうの、ふうの、それ」と呼吸法を指導し、妻も顔を真っ赤にしていきんでいる。
「頑張って奥さん!」といったコメントが大量に寄せられ、しばらくすると、男性の「頭見えてる。もうちょっと」という声が。その後、赤ん坊の泣き声が病室に響いた。夫婦にとっては2人目の子どもで、女の子だったという。「おめでとおおお!」「なんか泣けてきた」「パパおめでとう!」といった祝福のコメントが殺到した。
一時入場が制限されるほどの人気
この放送は一時入場が制限されるほどの人気で、放送終了後のタイムシフト視聴も含めると4万人以上が視聴した。ユーチューブなどの動画共有サイトに出産シーンが投稿されることはあったが、ニコニコ生放送で中継されるというのはおそらく初めてのことだ。2ちゃんねるでも、「史上最年少ニコ生主の誕生」「凄い時代だな、おい」といった書き込みが寄せられた。
一方で、「病院に生中継の許可を取ってないのは問題」といった指摘もあった。配信主は「パソコンで動画を録画するって言ってありますw 動画をいつ誰に公開しようが制限はないので、今この場でリアルタイムで公開してるだけです」と説明していた。少なくとも病院側は生中継を知らないようだ。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは、病院スタッフが「顔映りたくなかった」などと言わない限りは「当事者の夫婦2人が同意しているのなら、基本的には問題ないと思います」とし、
「最近はニコ生でもネタがなくなってきて、キテレツなことをやらないと注目が集まらない。なので、『歌ってみた』『踊ってみた』に続いて『産んでみた』ということなのでしょう。出産現場というのは中々見る機会もありませんし、知的なノンフィクションとしては興味深いと思います。自殺の生中継が問題になったことがありましたが、死ぬよりも命が誕生する方がずっといいですよね。ナレーションもない長時間の中継を何万人もが見ていたというのも驚きです」
と話している。