携帯メールでハングル絵文字の交換が若者にはやっている――。NHKが情報番組でこう紹介し、「聞いたことがない」とネット上で疑問が出ている。
「韓流ブームから韓国語を身近に感じる人たちが増えています」
NHKで2011年11月24日昼過ぎに放送された「お元気ですか日本列島」では、「気になることば」コーナーでこう紹介した。
「文字がかわいい、記号化しやすい」
そこでは、日常に韓国語が溶け込んでいるという例が挙げられ、街行く若い女性がインタビューに「『サランヘヨ』、中学ではやった」と答えていた。サランヘヨとは、「愛している」という意味だ。
また、インタビューでは、この言葉を「とてもよい」とする男性もいた。日本語だけでは気持ちが足りず、サランヘヨと言うと、「大切にする」といった感覚が内から出てくるのだともいう。
番組では、韓国KBS放送と10月30日に共催したトークイベントでこうした例を話したことを紹介した。NHKサイドはこのイベントで、文字としての韓国語すなわちハングルも日本の若者にはやっているとし、参加した山田敦子アナが壇上でこう明かしたのだ。
「携帯電話の絵文字をわざわざハングルを使って友達同士で交換するのがはやっているんですね。ハングルはやはり、文字がかわいい、記号化しやすい、デザインにしやすいと受け止められているんです」
番組では、ハングルに続いて「ありがとう」の日本語が書かれたメールが示された。飲食店内でインタビューに応じた別の女性は、母親にあてたメールで韓国語の発音をカタカナにして書いていると明かした。恥ずかしいことも素直に言えるといい、「ごめんね、ママ」とは言いにくいものの「ミヤネヨ、オンマ」だと言いやすいというのだ。
しかし、ネット上では、似たメールを見たことがあるとの声も一部であったが、「全然知らなかった」「そんなのが流行ってるのか」と疑問が渦巻いた。
韓流スターあてのツイートぐらい?
そこで、若者らにハングル絵文字のメールなどは見たことがあるか、取材してみた。
東京都内で、大学生の男女4人に聞くと、「使わない」「分かんない」との反応が返ってきた。
ただ、ツイッターでは見たことがあるとのことだった。有名私大の4年生男子(23)は、「内容は分かりませんが、若い女の子がハングル混じりでつぶやいていました。プロフィールにプリクラを張っているような子です」と明かす。韓流スターあてにハングルでツイートしているケースもあったという。
別の私大4年の女子(22)は、「タレントのチャン・グンソクさんがツイッターをやっている影響もあるのでは。来日したときに、ファンがわざわざハングルでグンソクさんあてにツイートしていたようですよ」と話す。
また、韓国人が身近にいる人はツイッターでハングルを使うこともあるようだ。都内の新入社員女性(23)は、「私の友人で、ほかの人にあまり知られたくないことはハングルを使う人がいました。それは、韓国人の彼氏がいてハングルが分かる友人にあててつぶやいているようでした」と言う。
では、ハングル絵文字のメールなどがはやっているというデータ的な根拠はあるのか。
NHKの広報局では、取材に対し、「NHKは取材に基づいて報道を行っています。例えばご指摘にあったハングル文字を打つことができる携帯電話は、国内で一般的に販売されています」とコメントしている。