公明党と民主党政権との距離感が微妙だ。政権側はねじれ国会の下で、なんとか公明の協力を得ようとあの手この手を繰り出すが、秋波を送られる公明は、柔軟に対応するように見えたかと思うと、厳しい対応をすると言った具合で、なかなかハラの内を明かさない。今後の政権の命運をも左右しかねないだけに、公明党の動向から目が離せない。
民主は公明の協力で政権の安定を狙う
公明党は菅直人政権末期以降、民自公3党協議で民・自の「接着剤」の役割を演じ、復興財源の償還期間の協議などでは民主党の肩を持つ場面もあった。だが、第3次補正予算は2011年11月21日成立したものの、復興財源法案や復興特区法案など関連法案の成立は12月上旬にずれ込む。さらに、与党が12月9日の会期末までに成立させたい復興庁設置法案、国家公務員の給与を引き下げるための臨時特例法案、郵政改革法案など他の重要法案の見通しは立っていない。
公明党を何とか引き戻そうと、与党側の涙ぐましい配慮が目立つ。一つが内閣官房参与に元公明参院議員の高野博師氏(64)を内閣官房参与に起用する計画。高野氏は外務省出身で、外交・安保問題で野田佳彦首相に助言を期待する、というのは表向きで、「本音は公明党対策」(与党筋)。もっとも、事前の公明党サイドへの根回し不足もあって、「何も承知していない」(山口那津男代表)と公明党をかえって怒らせ、逆効果だったという見方が政界では専らだ。
公明党が熱心な政治資金収支報告書に関する政治家の監督責任を強化する政治資金規正法改正案についても、野田首相が国会で公明党に配慮した答弁をした。
さらに民主党国対幹部は公明党に「プレゼント」攻勢。公明党の漆原良夫国対委員長が誕生日をむかえた18日、民主党の加藤公一国対委員長代理らがバースデーケーキを国会内の公明党国対委員会室に持参。前日の17日も公明党の結党記念日だったことから西村智奈美国対副委員長がコチョウランを届けた。
ただし、民主の配慮に反し、公明は政権との対決姿勢を強めている。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で反対集会に幹部が出席したほか、政治とカネの問題での小沢一郎民主党元代表の国会招致、マルチ商法業界との関係が問題になっている山岡賢次消費者問題担当相の問責決議問題など、自民と歩調を合わせる構えだ。