音楽SNS「マイスペース」は下火
ミュージシャンによるネット上でのPR活動というと、近年ではSNS「マイスペース」が挙げられる。有名バンドや歌手がこぞって自分のページを持ち、コンサート情報を掲載し、楽曲ファイルを公開して視聴できるようにした。「インディーズ」のミュージシャンも同様で、ブログを綴ったりプライベートの写真を載せたりとアピールに余念がない。
ただ、一時はブームを巻き起こしたマイスペースも、ここ数年は「フェイスブック」に追い抜かれて下火となっている。また楽曲販売サービスというよりも、どちらかと言えばプロモーションのために使われる意味合いが強い。グーグルという強力なブランドの下で自作の曲を販売でき、SNSも利用できる「アーチスト・ハブ」に、米国ではマイスペースから乗り換えるミュージシャンが増えることも考えられる。
利用者の反応は、おおむね好評だ。ツイッターを見ると、「情報通のインディーズミュージシャンにとっては好機」とつぶやく米アマチュアミュージシャンも見かける。
日本でのサービス開始時期は未定だが、スタートすれば「軍資金」に限りがあるアマチュアバンドや、個人で音楽活動に励む人には朗報だ。日本レコード協会によると、2011年1~6月のネットダウンロードによる有料音楽の売上実績は、シングル、アルバム合わせて56億5000万円と前年同期比20%増となった。2005年の同時期と比べると、10倍に伸びている。音楽業界としてもネット戦略は欠かせない時代にきたようだ。ただ、「アーチスト・ハブ」では誰もが同じ土俵で勝負できるだけに、特色のないページをつくればすぐに埋もれてしまうだろう。ネットによる楽曲販売は決して新しいモデルではないだけに、ミュージシャン側でも工夫を凝らしてライバルとの差別化を実現しない限り、グーグルのブランド力に頼るだけでは成功は難しい。