大阪ダブル選後の大がかりな政界再編構想が浮上した。民主や自民の一部、石原慎太郎・東京都知事(79)、橋下徹・前大阪府知事(42)らも巻き込む新党構想で、ぶち上げた「台風の目」は、国民新党の亀井静香代表(75)だ。
亀井代表は2011年11月25日の会見で、石原氏や橋下氏らの名を挙げて「リーダーシップや発信力がある」と指摘、「そういうものを結集していければいい」と新党を目指す意向を表明した。
「都市部の保守層への浸透」狙う
「亀井新党構想」は、10月下旬ごろから永田町界隈でささやかれていたが、産経新聞が11月25日付朝刊で、「石原都知事を党首」にする新党構想を亀井氏が主導していると1面トップ(東京最終版)で報じた。
11月27日の大阪ダブル選が終わり次第、「年内結党に向け活動を本格化させる」としている。
「年内結党」が指摘されるのは、2012年の政党交付金を受け取るには、12年1月1日現在の所属国会議員数などを届け出る必要があるからだ。
産経報道などによると亀井氏は、石原・都知事と橋下・前府知事のほかにも、河村たかし・名古屋市長(63)や大村秀章・愛知県知事(51)との連携も模索し、「都市部の保守層への浸透」を狙っている。
「保守」や反TPP、反消費税増税を掲げ、TPPや消費増税に前のめりの野田佳彦政権との対立軸を明確にした新党をイメージしているようだ。
同じくTPP交渉入りに慎重姿勢を示している民主党の小沢一郎・元代表(69)にも構想を明かし、「小沢グループ若手らを新党に迎えたいとの意向を伝えた」(産経新聞)という。
「実現の見通しは不透明だ」の報道も
ほかにも、「たちあがれ日本」の平沼赳夫代表(72)へ新党の幹部就任を要請する考えも持っており、11月24日には、石原都知事や平沼氏らと会談し、新党構想について意見交換した模様だ。自民の一部にも参加を呼びかけている。
もっとも、民主や自民の関係者の間には、「亀井さんって去年も新党構想で動いていた。どこまで本気なのか」「郵政改革法案が本丸の亀井さんに『都市部の保守層へ浸透』と言われても違和感がある」といった冷めた声もあるようだ。
11月25日午後に亀井氏の新党構想発言を報じた日本経済新聞(電子版)は、「参加が取り沙汰される議員には慎重な意見」が多いとして、「実現の見通しは不透明だ」との見方を示している。
産経記事の中でも、小沢元代表は「独自の新党構想」を描いており、橋下前府知事らとの接触を図っているとも指摘し、亀井構想とは別の動きを伝えている。みんなの党の渡辺喜美代表も橋下氏らとの連携に動いているという。
様々な思惑が交錯している模様で、こうした動きがひとつに収れんしていくのか同床異夢に終わるのかは未知数だ。
インターネットの2ちゃんねるやツイッターをみると、「民主党より大歓迎」と「亀井新党」への期待の声もある一方、「登場人物に高齢者が多すぎ」「この顔ぶれで政策が合うはずがない」と否定的な意見も並んでいる。