これから年末にかけて消費税増税が大きな政治的論点になる。TPP騒動は今やなりを潜めてしまったが、増税に向けて反増税派を二分する陽動作戦だったのかもしれない。
税は民主主義の基本である。しかし、今、税制を裏で操っているのは財務省だ。利益団体の陳情とはいえ、かつての自民党時代のほうが民主主義の観点から見れば多様性に富んでおり、ましだろう。財務省は増税一直線だ。
資産650兆円「説明せず」、借金の話ばかり
増税の前に資産売却などを行うべきであるが、国の借金が1000兆円もあるというものの、国の資産650兆円を国民には説明しない。
650兆円のうちおよそ450兆円は金融資産であり、その多くは官僚の天下り先への資金提供、官僚利権のためのファンドである。民間会社であれば、経営が大変ならば子会社株式などの金融資産は売却するだろう。製品値上げなんてとんでもない。しかし、国は官僚利権優先で資産売却をしないで、増税に走る。
ときどき増税をいう政治家が「国民に厳しいことをいう正直者」といわれることもあるが、まったくのウソだ。官僚利権である資産の売却に切り込めないで、弱い国民にしわ寄せする狡い政治家だ。
増税をいうマスコミも同罪だ。特に、新聞協会では消費税増税の暁には自らの業界では軽減税率を希望しており、この意味では自らは切り込まないで国民に押しつける官僚と同じ立場だ。
野田政権などの増税を主張する論者には共通したものがある。デフレ・円高容認だ。デフレは、円とモノの量を相対的にみて円が少なくモノが多くなって、多くなったモノの価値が低下する現象だ。円高は、円とドルの量を相対的にみて円が少なくドルが多くなって、少なくなった円の価値が高くなる現象だ。