カジュアル衣料大手の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、従来の慣行にとらわれない新たな採用方法を考えている。
具体的には、「大学1年生の時点で採用を決め、在学中は店舗でアルバイトをしてもらい、卒業と同時に店長にする」といった方法を想定していて、大学生の新卒一括採用に「風穴」を開けることになる。
採用は通年とし、選考する学年も問わない
ファーストリテイリングは大卒採用について現在、国内では年1回の採用選考を行っている。これを見直し、2013年春以降の入社組から適用する方向で検討している。
新しい方法は、採用時期を通年とし、選考する学年も問わない方式だ。柳井氏は朝日新聞のインタビューで、「一括採用だと同じような人ばかりになる。1年生の時からどういう仕事をするか考えて、早く決められる方がいい」と話している。
同社は、「大学1年生ということが強調されているが、ファーストリテイリングという会社で、本当に働きたいと考えている人がいるのであれば、早くからじっくりと働いてもらったほうが、仕事を身につけてもらううえでもよいと考えているということです」とし、優秀な人材を確保するために「人材を囲ってしまおうというものではありません」と話した。
いわゆる「第2新卒」を含めて、既卒者でも就活に励んでいる人が増えている半面、新卒の解禁日が決められ、そのスケジュールにあわせて採用選考を進めている現在の採用方法では「門戸が狭く、選考の仕方も硬直化していてよくない」と考えているようだ。
また、大卒採用では海外の大学が9月に新学期を迎えるため、国内選考で海外の大学を卒業した日本人や、外国人を採用しようとすると、入社時期が半年ほどズレ込むことになる。そういった事情に配慮する狙いもある。