オリンパス大株主に売却の動き 株価暴落で動揺と戸惑い

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   オリンパスの損失隠し問題を受け、大株主の間に保有するオリンパス株の一部を売却する動きが出ている。大株主の背後にもまたその株主などのステークホルダーがいることに配慮したものだ。確定的なことが発表されていないなかで、オリンパス株価は下落が顕著で、主要株主が動揺している。

   筆頭株主の日本生命保険は2011年11月17日、グループとしてのオリンパス株の保有比率 が3月末の8.18%から5.11%へ低下したことを近畿財務局に提出した大量保有報告書で開示した。

三菱東京UFJ銀行は売却せず

   10月14日のマイケル・ウッドフォード氏の社長解任以降、計3%超分を市場で売却した。日生は「保険契約者の利益の観点や経済合 理性も踏まえ、現在の不透明な状況から売却した」としている。ただ、生命保険協会の会長として11月18日に記者会見した日生の筒井義信社長は「(オリンパスは)技術力も あり公共性も高く、今のポジションで支えていきたい」と述べ、筆頭株主の立場を変えない意向を表明した。

   一方、三菱UFJフィナンシャル・グループも11月18日、2.39%分のオリンパス株を売却しグループとしての保有比率が10%から7.61%に低下したとことを関東財務局に提出した大量保有報告書で開示した。ただ、大半は三菱UFJ信託銀行が顧客の指示を受けて市場売却したもので、オリンパスの2位株主(4.89%)である三菱東京UFJ銀行は売却していない。同行は「準メーン銀行として経営再建を支える立場にある」として当面は保有比率を維持する方針だ。

   売却を明らかにした機関投資家もいる。明治安田アセットマネジメントは11月8日、運用する投資信託8本に組み入れているオリンパス株の全株を売却したと発表した。「業績など今後の動向が不透明なため」としている。

「第三者委員会の報告を見たうえで判断したい」

   こうした主要株主のオリンパス株の売却が株価を押し下げ、それを見た投資家がさらに売りに出て株価を急落させたようだ。11月10日までに3日連続で値幅制限の下限(ストップ安)で取引を終える異常な状態で、10日の終値は484円、時価総額は約1300億円と9月末の約6500億円から急減した。

   主要取引先としての関係維持のためオリンパス株を保持しているメーカーも、確定的なことが分からないままのため戸惑いを隠せない。0.6%を持つシャープは「今後の動向に留意する」として、第三者委員会が12月初旬にまとめる調査結果を待って対応を検討する方針だ。

   一方、主要株主各社は決算期末に時価が簿価の半額以下になれば、会計ルール上、損益計算書に評価損を計上する必要がある。2005年に資本業務提携を結び、2.5%を保有するテルモの取得価格は約2200円で、11月18日の終値(625円)は7割超の下落。テルモはオリンパス株について「第三者委員会の報告を見たうえで判断したい」としている。

   オリンパス株は2011年11月22日の終値で、前日比144円高の869円と続騰。この日は第三者委員会が前日に、過去の買収案件での反社会的勢力への関与について、「かかる事実は認められない」と発表したことが買い材料となったようだ。

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