「我々は一方的に違法行為を受けている被害者」
会見で田中社長は繰り返し、DeNAによる「違法行為」に対して、「ゲームソフトメーカーから相談を受けた」と説明した。ただし具体的な事例や社名については、「業者側がDeNAからの報復を恐れている」ことを理由に、明らかにされなかった。
DeNAは11月4日、横浜ベイスターズを買収して球界参入を決定し、日本プロ野球組織に加盟を申請した。12月1日に開かれる12球団のオーナー会議で認められれば、「横浜DeNAベイスターズ」が誕生する。今回のグリーの提訴時期は、DeNAに対する公取委の排除措置命令が確定してから約3か月経過しており、わざとDeNAの球界加盟申請時期に合わせて「邪魔」したのではないか、との見方も出た。これについて田中社長は、「この時期に提訴の準備が整った、ということに過ぎない」と憶測を一蹴。記者から「コンプライアンス上問題がある、と指摘したDeNAが球団を持つ資格があると思うか」との質問が飛ぶと、「球界参入については我々がコメントする立場にない」としつつも、「違法行為をしても競争相手に勝てばいいという考え方が公に認められたんだ、ということになるのを懸念している」と話した。
グリーとDeNAは、今や国内のソーシャルゲーム業界で「2強」の存在だ。法的措置に出る前に、両社が歩み寄ることはできなかったのか。DeNAからは、排除措置命令が出たのちに書面で、「違法と認定された行為はやめると取締役会で決議した」旨の通知が送られてきたが、謝罪などはなかったという。田中社長は、やや強い口調で、
「我々は一方的に違法行為を受けている被害者であり、措置を講ずるべきは加害者側の問題ではないか」
と主張。グリーからDeNAに問題解決を呼び掛けるのは筋違いとの考えを示した。
今回のグリーの提訴についてDeNA広報は、「訴状を見ていないのでコメントできません」と答えた。