「ゆるキャラ」のナンバー1を決める「ゆるキャラグランプリ2011」に2ちゃんねるからの大量組織票が流れ込み、運営側が頭を抱える事態になっている。
グランプリはゆるキャラさみっと協会が主催。約350のゆるキャラが全国からエントリーし、オンライン上で2011年9月15日から11月26日まで投票を受け付けている。
「にしこくんを1位にしてゆるキャラヲタ泣かそうぜww」
11月21日18時現在、熊本県から参加している「くまモン」が22万ポイント以上集めて1位となっているが、14日ごろから20日にかけてちょっとした騒動があった。
2ちゃんねる上に「にしこくんを1位にしてゆるキャラヲタ泣かそうぜww」というスレッドが登場。にしこくんとは、東京都西国分寺の非公式キャラクターで、灰色のライオンのような頭部から人間のような2本足が生えているというデザインだ。手がないこともあり、珍妙な味わいを醸し出している。
これが2ちゃんねらーのツボにはまったらしく、「にしこくんきもすぎわろたww」といった書き込みが殺到。1つのメールアドレスから1日1回しか投票できない仕組みとなっていたため、ヤフーなどのフリーメールで複数アカウントを作り、大量に投票しようという運動が行われた。
「キャラを愛する気持ちで1票1票投票してもらいたい」
その結果、にしこくんに急に票が集中し、ランキングが1位に。しかし、21日昼ごろ突如ランクがダウンし、18時現在10位になっている。
一体何があったのか。ゆるキャラさみっと協会によると、当初は複数アドレスからの投票を容認していたものの、2ちゃんねるでの運動は「あまりにも機械的で度を超しており、キャラへの愛情がない」と判断し、票数の修正を行った。2ちゃんねるではヤフーなどフリーメールを使った投票方法が書き込まれていたが、そうしたメールアカウントからは投票できないようにしたという。
「その他のキャラクターについても同様の動きがあった場合、票の修正を行います。多くの人はキャラを愛する気持ちで1日1回少しずつ投票しているのに、想定外のことです。サイトも重くなってしまいますし、愛情をもって1票1票投票してもらいたいです」
と協会担当者は話している。
以前もアニメやゲームの人気キャラ投票で、2ちゃんねるからイタズラ目的で組織投票が行われたことがあったが、今回の事件についてITジャーナリストの井上トシユキさんは、
「『ひこにゃん』以来、全国の自治体が何かとゆるキャラを作って地域興しをしようとしています。2ちゃんねらーにしてみれば、大人たちが安易にゆるキャラに流れる現状に対して抗議をしたいという、一種の正義感でやっているのでしょう。特に今年は『まんべくん』(北海道長万部町)の歴史認識発言もありましたし、『あいつらの好きにはさせない』という気持ちは一層強いはずです。ただ、運営側はこういう運動に対して真正面から戦ってはダメですね。むしろ、『2ちゃんねる特別賞』とかを設けて、『みなさんのお陰で注目集まりました。ありがとうございます』といなしてしまうぐらいがいいでしょう」
と話している。