節電でいっそう寒く感じられる2011年の冬。からだを温める飲み物が恋しくなるが、最近攻勢をかけているのが「ショウガ」飲料とホットビールだ。
とりわけ「ショウガ」飲料はここ数年で冷え症に悩む女性を中心にブームになるほどだが、定番ともいえるココアも冷え症改善効果を強調している。
ココアの血流改善による冷え症改善効果
斬新なのは、キリンビールだ。節電の冬を「ホットビール」で乗り切ろうと、新しい飲み方を提案した。黒生ビールの「一番搾りスタウト」を耐熱グラスに注ぎ、電子レンジで1分ほど温め、角砂糖を入れるとビールに溶け込んだ炭酸ガスが吹き出して、冷やして飲むビールと同じように泡が楽しめるというもの。
キリンビールは「香りも華やかでデザートビールとしてもよく、寒さ対策として楽しんで飲んでほしい」と話している。
「定番」の飲み物で見直されているのが、ココアだ。リラックス効果があり、またカフェインのように脳に過度な興奮を与える作用が少ないことから、子どもから高齢者まで安心して飲める利点があるとされる。
ココアについて毎年のように研究成果をあげている森永製菓によると、ココアがからだを温めるのは、ココアに含まれる「テオブロミン」による末梢血管の拡張作用と「ポリフェノール」による血管拡張作用によると考えられていて、「ココアには血流改善による冷え症改善効果が立証されています。からだが冷えきってしまう前の、ちょっと寒いなと思ったときにこまめに摂取してもらうと効果があると思います」と、同社分析研究室は話す。
ちなみに、森永製菓は9月の日本食品科学工学会第58回大会で、「ココアの抗酸化効果が生体内でも有効に機能していることを確認した」と、研究成果を発表している。
ショウガ入り飲料「新製品」も続々登場
一方、ショウガ入り飲料は「新製品」も続々登場している。シリーズ「『冷え知らず』さん」を展開する永谷園は、秋冬期間限定のホット飲料「生姜チャイ」をリニューアルした。4年前に発売した商品だが、販売動向を調査したところ、朝に飲む人が多かったことから、「紅茶の感じを少し強めることで香りと飲みやすさを高めて、朝を訴求したパッケージに仕立てた」という。
これまで通信販売で提供していた、希釈タイプの「飲む生姜」は今年からコンビニエンスストアなどで買えるように販路を拡大したほか、秋冬限定販売だった粉末の「生姜湯」黒糖とチャイ風を通年販売にした。「じんわり、ポカポカする」と、好評という。
キリンビバレッジは、ショウガ配合の新しいブレンド茶「ぽっぽ茶」を、健康茶の新ブランド「からだ想い茶」の第1号商品として発売した。
同社の調査によると、20~40歳代の男女のうち3割以上の平均体温が36度未満であることがわかった。「からだを温める効果がある」とされるショウガを配合して「体温から高めて、からだを温めよう」と、健康志向が高い消費者にアピールする。