英語に四苦八苦している人は少なくない。なかでもヒアリングは英会話教室に通ったり、テープやビデオ教材を買ったり、外国映画を字幕なしで観たりと、ネイティブな発音を聴くためにいろいろと試しては挫折した人も多いのでは。
そうした中で、インターネットでは最近「TED」で英語を学ぶというのが人気だ。
興味をそそる一流の講演者とテーマ
「TED」は、Technology、Entertainment、Designの頭文字で、世界の著名な人物が年1回集まって開くカンファレンスが始まり。現在は「TEDカンファレンス」と「TEDグローバル」、「TEDプライズ」の講演会と「TEDトーク」の4事業がある。
このうち、TEDトークはインターネットを通じて行っている動画の無料配信プロジェクトで、3つの講演の中から毎週3点ずつの動画を公開している。
講演者には、ビル・クリントン元米大統領やサドルバック教会の創設者でベストセラー作家のリック・ウォレン神父。米進化生物学者のE.O.ウィルソン氏や英ロックバンド・ジェネシスのボーカリスト、ピーター・ガブリエル氏に英実業家でヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン氏など幅広く、最近では事業家のジャスティン・ホール・ティピング氏が「送電網を必要としないエネルギーを」のテーマで語った。
さまざまなジャンルの、世界最先端、超一流の人物が語る最高レベルの講演内容は、確かに刺激的で興味深いものばかり。
この講演ビデオが英語教材としてよいというのだ。
どちらかといえば上級者向き
「TED」が英語教材として適しているとされるのは、約20分というスピーチの長さもあるらしい。「聞き流すだけで学べる」レッスンが流行だが、覚えてしまうほど繰り返し聴いて学ぶには、通常売られている英語教材の60分程度の長さでは聴き続けることが難しい。通勤電車の中や家事をしながらでも、繰り返し聴ける「長さ」がちょうどいいようなのだ。
また、自分の興味のあるテーマを選べることや、仕事に直結する、専門用語も含んだスピーチが理解を早めるとされる。
「TED」にはスピーチ文をネット上に集まったボランティアが翻訳するプロジェクトがあり、一部講演でのスピーチには日本語の字幕もついているから、あまり英語がわからない人でもスピーチの内容を理解できるようになっている。
「英語を学ぶ」などと構えずに聴ける環境から、自然に習慣づけられる、というわけだが、基本的にネイティブのスピーチなので、どちらかといえば上級者向き。
海外旅行でちょっと英語を使いたいという初心者は、また別の方法で基礎固めをするのがよさそうだ。