2011年は11月17日に解禁日を迎える「ボジョレー・ヌーヴォー」。時差の関係で日本が世界で一番早く飲めることもあって毎年話題になるが、今年は「家飲み」に照準を合わせたハーフボトルや色鮮やかで飲みやすい「ロゼ」タイプがお目見えし、女性を中心に人気を集めそうだ。
また、今年は「ボジョレー・ヌーヴォー誕生60周年」にあたる。ブドウの出来ばえもよかったといわれるだけに、その味わいに期待が高まっている。
成熟度がすばらしいヴィンテージに
ボジョレー・ヌーヴォーは、仏ブルゴーニュ地方のボジョレー地区でのみ生産される新酒で、そのほとんどが黒ぶどう(ガメ種)からつくられる赤ワインだ。
2011年のボジョレー・ヌーヴォーについて、フランスの醸造家で、「ボジョレーの帝王」と呼ばれるジョルジュ・デュブッフ氏は、「今年のボジョレーはまず色。きれいな赤でパープルがかっていて素晴らしい。そして香りはフレッシュで、フローラルな感じ。豊かなベリーや木イチゴなどのニュアンスがあり、さまざまな花のアロマが感じられます。口に含めばまろやかで丸みがあり、リッチでシルキー。成熟度がよく、すべてにおいてバランスがとれていて、最高のヴィンテージになったと自信をもっています」と、胸を張る。
その言葉どおり、デュブッフ氏がつくった「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2011」は仏リヨンで開かれた公式コンクール「リヨン杯2011」で最高金賞を受賞した。
今年はブドウそのものの品質がよかったこともあるが、デュブッフ氏は、ブドウの収穫が始まった8月中旬以降、毎日300ものブドウ生産者のワインをテイスティングし、またアッサンブラージュ(ブレンド)を重ねてきた。「このワインは25~30もの生産者の結晶だと思ってほしい」という。
ボジョレー・ヌーヴォーは軽くて飲みやすく、和食にもよく合い、ワインの「入門編」としての評判も高い。また、日本が世界で最初に飲めるという、「初物好き」の日本人のメンタリティにもあっている。
日本市場に向けてデュブッフ氏は、「わたし自身は『フランスのエスプリ』を届けているという意識でいます。友人や親しい仲間、家族などと飲んでもらいたい」と語る。
ハーフボトルで価格はリーズナブル
サントリーの推計では、2011年のボジョレー・ヌーヴォーの市場規模は、前年比1.7%増の60万ケースとなる見通し。
晩秋の話題をさらうボジョレー・ヌーヴォーだが、2004年をピークに輸入量は減少傾向にあった。しかし、それに歯止めをかけたのがハーフボトルやペットボトル、紙パックなどの低価格路線で、新たなファンの開拓にひと役買った。今年もその流れは変わらない。
サントリーやアサヒビール、流通業では西友やセブン‐イレブン・ジャパンなどの輸入元は、東日本大震災後に高まった「家飲み需要」を取り込もうと、ハーフボトルの品ぞろえを充実している。ハーフであれば、赤や白、最近人気のロゼを、消費者に安く提供できるからだ。
ジョルジュ・デュブッフ氏のボジョレー・ヌーヴォーを取り扱うサントリーも「今年は飲みきりサイズのハーフボトルをフルラインナップしました」と話す。