過激な抗議活動で知られる海外の動物愛護団体、「PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)」が任天堂に矛先を向けた。スーパーマリオがゲーム中に着用する「タヌキスーツ」が毛皮を肯定していると抗議していて、日本や海外のネットで話題になっている。
タヌキスーツとは、1988年に発売されたファミコン用ソフト「スーパーマリオブラザーズ3」から登場したアイテムで、これを着用すると、尻尾で空を飛んだり、地蔵に変身して敵をやり過ごしたりできる。
「マリオは『毛皮を着用してもいい』とメッセージ送っている」
2011年11月初旬に発売されたDS用ソフト「スーパーマリオ3Dランド」にも登場しているのだが、このソフトの発売に合わせてPETAが14日に抗議活動を開始した。
PETAサイト内に「Mario Kills Tanooki」というタイトルで特設ページがあり、以下の文章が掲載されている。
「姫を助けに行く際、マリオは敵を倒すためにあらゆるものを使うこと知られている。特別なパワーを得るためにタヌキの毛皮さえ着るのだ。ゲームの中でタヌキは『スーツ』に過ぎないかもしれないが、現実世界でタヌキは生きたまま皮を剥がされている。タヌキスーツを着用することで、マリオは、『毛皮を着用してもいいのだ』というメッセージを送っている」
タヌキスーツを着たマリオが、血が滴るタヌキの生首を持っているイラストが描かれているほか、皮を剥がれたタヌキがマリオを追いかけて皮を取り戻すフラッシュゲームまで用意されている。タヌキが生きたまま皮を剥がされる映像も掲載されていて、こちらはかなりグロテスクだ。
「PETAはこんなことをやっているから真面目に相手にされないんだ」
PETAは抗議のために女性が半裸になるなど、過激なパフォーマンスで知られている。日本のネットでは、15日から話題になっていて、「ゲームの中身にも抗議するなんて動物愛護って大変ですね」「こじつけにもほどがあるんじゃないか」といった書き込みがツイッターなどに寄せられた。
「狸に文句言うくせに踏みつけられて甲羅を利用される亀には沈黙している時点で彼らは種差別主義者(爬虫類差別主義者)であることは明らか」という見方もあった。
海外のネットユーザーも同様で、「PETAはこんなことをやっているから真面目に相手にされないんだ」「凄い笑った」「マリオよりもっと他に抗議するところがあるだろ」といった反応が出ていた。多くの人はPETAの「売名行為」「言いがかり」と見ているようだ。
任天堂によると、PETAの抗議は任天堂に直接寄せられている訳ではないといい、「こちらから特にコメントすることはございません」(任天堂広報)ということだった。
ちなみに、海外のニュースサイト「Eurogamer.net」によると、同サイトの取材に対し、任天堂のスポークスマンは、
「マリオはゲームの中で、しばしば動物や何かの物体に変身します。カエルやペンギン、風船のほか、メタルマリオにもなってしまいます。これらの陽気でひょうきんな変身はマリオに新しい能力を与え、ゲームを楽しくするものです。こうした変身形態にゲームを超えた意味はありません」
と話したという。