解熱鎮痛剤シェア争いが激化 大型新人「ロキソニンS」が「常連」入り

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   解熱鎮痛剤市場のシェア争いが激しくなっている。2011年1月に、第一三共ヘルスケアから発売された「ロキソニンS」が売り上げを伸ばし、10月には販売個数で累計500万個、販売金額で同30億円を突破したことがわかった。

   「常連」ともいえる「バファリン」(ライオン)や「EVE」(エスエス製薬)、「ナロンエース」(大正製薬)を脅かす存在に成長した形だ。

ターゲットは「20~30歳代女性」

1回1錠で胃への負担が少なく、眠くならない
1回1錠で胃への負担が少なく、眠くならない

   マーケティングリサーチ会社のインテージによると、2010年の解熱鎮痛剤の市場規模は453億円。前年比でほぼ横ばいだったが、11年は「ロキソニンS」が市場の活性化に寄与したとみられている。

   先日発表された「日経トレンディ」(12月号)の「2011年ヒット商品ベスト30」にも医薬品として唯一、トップ10入りしている。

   一般に、解熱鎮痛剤市場は、効き目が強いので消費者が安全性を重視するとされる。服用経験があってカラダにあえば、飲み続ける傾向にあるので、製品が動きにくい。そのため、解熱鎮痛剤市場はこれまで、「バファリン」「EVE」「ナロンエース」といった、誰でも一度は聞いたことのあるブランド薬の独壇場だった。そこに「ロキソニンS」が割って入った。

   なかでも女性層は売り上げを左右する存在で、「飲みやすさ」や「効き目の速さ」をいかに訴求していくかが、「勝負どころ」。

   たとえば、エスエス製薬の「EVE」は独自の製剤技術で、小粒のフィルムコーティング錠剤にすることで女性に飲みやすさをアピールしており、同社は「市場が活性化するなか、女性に支持されるブランドとして認知と理解を促進したい」と意気込む。

   一方、第一三共ヘルスケアは薬局での啓発ガイドブックの配布や、テレビCMに人気の若手女優・貫地谷しほりさんを起用。「頭痛や生理痛で悩む20~30代女性をコアターゲットに、プロモーション展開を図った結果、想定どおりに、この層の女性を中心に購入いただいている」といい、これが功を奏したようだ。

1回1錠で胃への負担が少なく、眠くならない

   「ロキソニンS」は、医師が病院などで処方している、「ロキソプロフェン」を配合した医療用医薬品を、薬局やドラッグストアで購入できるように製品化したスイッチOTCの新製品で、購入時に薬剤師の処方が必要な第I類医薬品に分類される。

   1回1錠の服用で、胃への負担が少なく、眠くならない。なかでも「医療用での高い実績と信頼に基づく効き目のよさがあり、とくに消費者が鎮痛薬に最も求める、『効き目の速さ』が特長です」と、第一三共ヘルスケアは説明する。

   薬剤師の支持を得られたことも、ヒットの要因だ。第I類医薬品なので、消費者にとっては「ひと手間」かかることになるが、それでも売れているのは「購入しやすい価格設定もありますが、薬局やドラッグストアの薬剤師が高い意識で、消費者に適正な使用を指導し、販売していただいている。それがリピーターの獲得につながり、順調にシェアを拡大している要因だと考えています」(第一三共ヘルスケア)とみている。

   従来から医師が処方していた成分を配合した医薬品なので、消費者も服用経験があり、その安心感から売れているともいえそうだ。

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