TBSの開局60周年記念ドラマ「南極大陸」の視聴率が下げ止まらない。初回放送は22.2%と好調だったが、2011年11月13日放送の第5回は13.2%だった。「視聴者から見捨てられた落ち方だ」と見る専門家もいて、視聴率が1ケタ台になる可能性もあるという。
「南極大陸」は北村泰一著の「南極越冬隊 タロジロの真実」を原作として制作。木村拓哉さん(39)主演で、香川照之さん、堺雅人さん、緒形直人さんらが脇を固め、南極に行った人々の帰りを待つ女優の綾瀬はるかさん、子役の芦田愛菜さんなどそうそうたるメンバーが出演している。
ドラマの TBS歴史的大惨敗となる可能性
初回の視聴率は22.2%と今年放送されたドラマで2番目に高い数字を記録したが、2話は19.0%、3話16.9%、4話15.8%と落ち続け、5話は13.2%となった(関東地区=ビデオリサーチ調べ)。ネットではこの結果に、
「下がりすぎだろwwww」
「南極の寒さは感じられないのに、ドラマはすごく寒かった」
「だって昭和の物語りなのに、いつものキムタクだもんな」
といった感想が出ている。
芸能評論家の肥留間正明さんは初回が放送された11年10月16日にTBS社内にいた。視聴率が出ると社内は、
「さすがキムタク、やったね!!!」
という歓声に包まれたという。そして現在、木村さん批判が起きているはずだ、と推測する。
こうした視聴率の推移は「視聴者から見捨てられた落ち方」であり、開局60周年記念として大々的に打ち出した作品だけに、TBSの歴史的大惨敗となる可能性がある。
なぜこんなに下がってしまったのか。肥留間さんは、まず、83年に公開され、興業収益が日本歴代2位の映画「南極物語」の高い壁があった、と指摘する。タロとジロの物語は非常に有名だから、初回を見るだけで次回からのストーリーが想像できてしまう。それでも視聴者を集めるのは作品の魅力なわけだが、「南極物語」の主演は高倉健さん。木村さんは比べられてしまった、というのだ。
キムタク本人ではなく、南極越冬隊の1人の隊員の姿が見たかった
木村さんが主演となるドラマはこれまでどの局も、「キムタクが主演です」といってスポンサーを集めてきた。「南極大陸」も同じで、そのため木村さんをどう撮影するかに重点が置かれ、撮影も木村さんのスケジュールに合わせて進行させた。そうしたこともあってか、木村さんは昭和の時代にそぐわない茶髪だったり、南極の厳しい自然の中で暮らしているのに、雪焼けをしていない綺麗な顔で登場している、などとネットで冷笑されたりした。
肥留間さんは日本テレビドラマ「家政婦のミタ」の視聴率が5話目で22.5%になったことに注目する。このドラマは松嶋菜々子さん(37)が主演だが、松嶋さんを家政婦としてしっかり撮影している点が違う。
「視聴者は家政婦の物語が見たいわけです。南極大陸も同様にキムタク本人ではなく、南極越冬隊の1人の隊員の姿が見たかった、そういうことだと思います」
このままでは視聴率が一ケタになってしまい、これで「キムタク神話」が崩壊してしまう可能性もあるという。