あの「ナベツネ」こと巨人の渡辺恒雄会長に楯突くという前代未聞の出来事が起きた。勇気ある行動に出たのは清武英利球団代表。OBの江川卓氏を勝手にヘッドコーチに押し込もうとしたやり口に怒りを表したのである。しかしこの騒動、ただの内紛ではないようだ。
NHKもニュースで取り上げた
内部告発の会見を行ったのは文部科学省。プロ野球と教育の省、そのうえ告発だから場違いもいいところだった。内容はもろに「ナベツネ(渡辺会長)批判」。この異常事態は球団内のトラブルなどまず扱わないNHKがニュースで取り上げたことほどだから、いかに大きな衝撃だったかが分かる。
清武代表の言い分は、来シーズンのコーチ人事についての渡辺会長の口出しに対して。「鶴の一声で覆すのは不当」「球団を私物化」と厳しく批判。江川をヘッドコーチとし、既にヘッドコーチに決まっていた岡崎郁コーチを降格させる、という会長の独断に矢を放ったのである。
経過は次の通り。
▽10月20日 桃井恒和オーナーと清武代表が渡辺会長に岡崎ヘッドコーチら来シーズンのコーチ陣容を報告し了解を得た。
▽11月4日 渡辺会長が報道陣に「新コーチ陣のことは聞いていない」と発言。
▽11月9日 渡辺会長は清武代表に「江川ヘッドコーチ、岡崎コーチ降格とする。江川には交渉中」と伝える。
清武代表は、渡辺会長に翻意を促したが聞き入れてもらえなかった、という。そして告発会見の挙に踏み切った。さらに驚くことに、清武代表は渡辺会長から「次は桃井に代えて君を球団トップにする」と、手形を切ってきたことを暴露した。ポストをちらつかせて自分の意のままに人事をするという手法は、政治記者を自負する渡辺会長らしいといえるだろう。