米政府が、大まじめに「異星人との接触情報隠し」説を否定、ホワイトハウスのサイトで公表した。「突然の発表」に不自然さを感じ、不信感を表明する向きもあり、異星人をめぐる論議の「最終決着」となるかは不透明だ。
米政府の公式見解は、ホワイトハウスの宇宙政策担当、フィル・ラーソン氏がネット上で披露した。サイトのページには日付はない。日本では2011年11月8日に読売新聞などが報じた。
「嘆願書に回答」という流れ
見解では、「地球外生命の存在」や「人類と地球外生命との接触」について、いかなる証拠も米政府は持っていない、と完全否定した。証拠が公衆の目から隠されているという信頼できる情報もない、としている。
一方で、宇宙のどこかに生命をはぐくむ星がある可能性については、「極めて高い」と論評。ただし、仮に地球外生命が存在しても遙か彼方のため、(特に知的生命体の場合)地球人と接触する可能性は「極めて低い」としている。
こうした見解内容について、「今さら発表するような話か?」と拍子抜けしたコメントを日本語でネットに書き込むユーザーも少なからずいた。逆に「今さらこんな話をわざわざネットで言うのは怪しい。(米政府が)何かつかんだのでは」とうがった見立てを披露する人もいた。
今回の発表は、オバマ政権の情報公開政策の一環だ。
ホワイトハウスのサイトには、「WE the PEOPLE」という嘆願書回答コーナーがある。ネットで嘆願書をつくり、一定期間に一定数以上の署名をネット上で集めれば、政府がそれに回答するという仕組みだ。必要数は変動がある。
今回の「地球外生命」に関しては、同種2件の署名が計1万7000件以上集まった嘆願書に答えたものだ。
うちひとつの嘆願書は、米政府や軍の多くの関係者らの証言から、地球外生命が地球で確認されたのは間違いないと考えているようだ。「真実」を知って国民がショックを受けることを政府が心配しているのかもしれないが、大丈夫だ、「人々は真実に適切に対処できる」と政府に資料公開を促している。
今回、米政府は「そんな資料なんてありません」と否定したわけだ。
一方で、確かに嘆願書が指摘するように、「元軍人」が「宇宙からの未確認飛行物体(UFO)」などについて「証言」する例はある。
「元軍人」らのUFO証言の真偽
2010年9月末には、米軍の元空軍将校ら7人がワシントンで記者会見し、「説明のつかない光」が飛来し、核兵器施設内でシステムに異常が起きたと話し、米政府に情報の公開を求めた。
この際に同席したUFO研究家は、UFOや地球外生命体が地球の核兵器開発に警告を発していると解説した。会見の内容は、共同通信が報じるなどした。
以前からUFOに関心がある人たちの間では、米国の「ロズウェル事件」や「エリア51」といったキーワードが知られ、「UFO残骸の回収とその隠蔽」説などが唱えられてきた。
今回の米政府見解に関するネット上の日本語書き込みをみると、「なんだか夢がなくなるな」といった冷静な反応が多い。
もっとも、「なぜ突然発表したの?怪しい」「機密だから発表できないだけだ」といぶかる向きも少なくない。「疑惑」の完全払拭とはいかないようだ。
特に、今回の見解では「地球外生命体」のことばかりに触れており、UFOに言及がないことに反応している人たちもいる。「UFOを否定したわけではない」というわけだ。
嘆願書自体にUFOの記載がなかったためと思われるが、ある書き込みでは「この発表でわかることは、UFOは異星人の乗り物ではなく、地球人のタイムマシンだったということだ」などと想像をふくらませていた。
今回の嘆願書を出した関係者らの一部は、今回の政府の発表に不満で、再度、「真の情報」公開を求める署名活動を始める、との報道もある。