日本の証券会社は生き残れるのか 月刊誌で再編が取り沙汰される

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   証券各社の中間決算が出そろった。欧州債務危機などによる市況低迷を受け、大手5社のうち、3社が200億円台後半の最終赤字に陥る厳しさだ。法人向け部門の苦戦が続くなか、ここへきて頼みの個人向け部門にも陰りが見える。各社ともリストラに勤しむが、再成長に向けた出口が見えなくなっている。

「(7月末時点から)さらに環境が悪化した。(海外の法人部門の)適正なサイズの想定を見直すべきと判断した」

   国内証券最大手の野村ホールディングスの中川順子執行役財務統括責任者(CFO)は、2011年11月1日に東京証券取引所で開いた決算発表会見でこう語った。

野村は欧州を中心に大幅な人員削減

   7月末の発表で、海外を中心とする法人部門のコスト削減を「年間4億ドル(約312億円)」としていたが、これを8億ド ル(約624億 円)追加し、総計12億ドル(約936億 円)とする理由を示したものだ。

   野村は中間連結決算で283億円の最終赤字(前年同期は33億円の最終黒字)に沈んだ。中間決算の最終赤字はリーマン・ショックが世界の金融市場を揺さぶった2008年以来、3年ぶり。中川CFOは「欧州の環境悪化などによる市況低迷が今後18カ月続いても利益を確保できるようにする」と述べ、欧州を中心に大幅な人員削減に踏み切る考えを強調した。

   国内証券2位の大和証券グループ本社も苦境は同じ。中間決算の最終赤字額は野村をわずかに上回る287億円(前年同期も53億円の最終赤字)となった。法人部門の不振に加え、不採算事業の縮小・ 撤退などに伴う特別損失を123億円計上したことが響いた。

   欧州、アジアで300人超の人員削減を実施することも発表。大和はこれまで「アジアを収益源にする」と宣言し、香港やシンガポールでの事業を拡大してきたが、 軌道に乗る前に見直しを迫られた形だ。

メガバンク系の実情はもっと厳しい

   個人部門がもともとあまり強くないメガバンク系の実情はもっと厳しく、みずほ証券の最終赤字は267億円(前年同期は63億円の最終黒字)。三菱UFJ証券ホールディングスも、提携先のシンガポールの証券会社の株式売却益 などで163億円 の最終黒字に持ち込んだが、傘下の事業会社である「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」単体は31億円 の最終赤字(前年同期も91億円 の最終赤字)だった。

   日本の証券業界は法人向け事業需要が縮小するなか、「オーバー・インベストメント・バンキング(過剰な投資銀行)」(大和証券幹部)で、株式や社債発行を引き受ける法人部門が厳しい。米調査会社トムソン・ロイターによると、4~9月に日本企業が投資銀行業務に支払った手数料は前年同期から35%も 減った。このため、各社ともリストラせざるを得ないわけだ。

   ただ、世界的な市況低迷は個人投資家の意欲もそいでおり、個人部門も安泰ではなくなってきている。4~6月に比べ7~9月の個人部門は、野村が税引き前利益でほぼ半減したほか、大和は経常利益で34%減 とそれぞれ急減した。再成長に向けた出口が見えないなか、月刊誌などで再編観測が取り沙汰されている。

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