橋下氏「週刊誌もチェック受ける権力者」 文春・新潮の記者個人名さらして攻撃

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   大阪府知事選の告示を2011年11月10日に控え、橋下徹前知事(42)がツイッターで攻勢を強めている。告示後のウェブサイトの更新やツイートの発信は、基本的には公職選挙法に抵触すると解釈されており、「最後の更新」とばかりに熱が入っているようだ。

   橋下氏が特に敵意をあらわにしているのが、ネガティブキャンペーンを繰り広げている週刊新潮と週刊文春に対してだ。反論の内容は、自らの出自に関する両誌の報道が橋下氏の家族に悪影響を与えたことのほか、囲み取材に来ずにファクスで大量の質問をぶつけてくる取材手法についてなど、多岐にわたる。

記者の身辺情報を募集

橋下氏のツイッター。文春・新潮に対する批判を続けている
橋下氏のツイッター。文春・新潮に対する批判を続けている

   ここ数日で特に橋下氏が強調しているのが、メディアという権力に対するチェック機能のあり方。2011年11月8日朝には、

「非常識な権力機関である週刊誌に対しての権力チェックも必要です」
「バカ文春やバカ新潮も自分たちもチェックを受ける権力者だと言うことを自覚しろ」

と、「メディアもチェックされるべき」との主張を展開している。

   ただ、その具体的な方法が非常に独特だ。ツイッターでは、橋下氏の取材にかかわった週刊文春と週刊新潮の記者の名前を列挙した上で、

「風俗や飲み屋にでも行って失敗もあるでしょう。普段人のことばかり調べてるんだから自分が調べられる立場を経験しなさい」
「男なんて女関係で必ず失敗があるはず」

と、身辺情報を募集しているのだ。週刊誌の記事には署名が入らないことが多く、週刊誌の記者の名前がネット上で公表されるのは珍しい。

   この橋下氏のやり方には、異論もある。例えば「週刊現代」元編集長の元木昌彦さんは、今回問題となっている出自の問題を含めて

「週刊誌が有権者に判断材料を提供することは重要で、それほど大きく批判されることではない」

との立場で、今回のメディア批判についても、

「例えば、編集長に対して『公の場で議論しよう』と呼びかけるのであれば理解できる。だが、個別の記者を攻撃するのは、自分が持つ権力の大きさを認識していないのではないか」

と、過剰反応だと批判している。

   橋下氏から痛烈な反撃を受けている形の文春・新潮の両誌だが、11月10日発売号の内容を見る限り、再反論は低調だ。週刊新潮は、「バカ新潮」のくだりについて

「血走った眼でパソコン、あるいは携帯の画面を凝視し、一心不乱に文字を叩き込む橋下氏の姿が目に浮かぶようである」

と皮肉るにとどまっており、週刊文春は、ツイッターの書き込みに対する反論すらしていない。

ホリエモンが日本テレビ記者を名指しで批判

   なお、著名人が記者の実名を公開して批判を展開した事例としては、元ライブドア社長の堀江貴文受刑者の例が知られている。堀江受刑者のツイッターや著書「徹底抗戦」(集英社)では、自らの私生活を盗撮されたり、私的な電話を無断で放送されたりしたなどとして、日本テレビの記者が名指しで批判されている。収監直前の11年6月にも

「フライデーに盗撮されたなう!でも発見して名刺もらったなうw」

として、ツイッター上で写真週刊誌「フライデー」記者の名刺の写真を公開している。

   上場企業も同様の手段に及ぶことがある。読売新聞が09年6月に「楽天が顧客情報提供」という見出しで、「楽天が加盟店にクレジットカード情報を提供している」などとする記事を掲載した際には、楽天は読売新聞社会部記者を名指しした上で、

「このような消費者の不安を煽るようなミスリーディングな記事を掲載されたことは大変残念であり、誠に遺憾です」

とする文章をウェブサイトに掲載。後に記者の個人名は削除された。

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