中学校の歴史と公民の教科書で、「新しい教科書をつくる会」系の教科書の占有率(シェア)が大幅に伸びている。これまで「右より」だと批判が多かったが、1年で伸びたシェアは6~10倍。なぜここまで伸びたのか。
文部科学省が2011年11月1日に発表した12年度に使用される見込みの教科書数によると、中学校の公民の分野では、「つくる会」系の育鵬社の教科書は4万8569冊使われる予定で、シェアは全体の4.0%。11年度と比べると11.6倍に跳ね上がっている。中学校の歴史分野でも、同社の教科書は4万7812冊使われる見通し。シェアは3.7%で、6.6倍だ。
組合が強いとされてきた中国地区でも食い込む
文科省の発表では、地域別のシェアは明らかになっていないが、これまで教職員組合が強いとされてきた中国地区でも、少しずつ食い込みをみせている様子だ。例えば、広島県呉市が歴史と公民、尾道市が公民、島根県益田地区(益田市、津和野市、古賀町)が歴史の教科書を採択したことを発表している。
それ以外にも、横浜市、大阪府東大阪市、神奈川県藤沢市、東京都大田区などで同社の教科書を採択したことが明らかになっている。また、同社の教科書を支持する論調を続けている産経新聞によると、
「歴史上の人物がその時々でどのような判断を下したか理解が進む」(埼玉県立中)
「国際社会での日本を正しく認識できる」(愛媛県立中)
と、公立の中高一貫校でも評価されている様子だ。