ネットで反政府リーダーの具体的支援「画期的」
艾氏は2008年の四川大地震で、学校で多くの子どもが犠牲になった責任を調べるための独自調査を実施し、人権活動家としての実績を積んでいる。もともと芸術家として知名度が高く、ツイッターやグーグルプラスをはじめSNSやブログを駆使してネット上で発言を続けている。中国のネット事情に詳しく、12月に「中国・電脳大国の嘘」を刊行予定のノンフィクションライター、安田峰俊氏によると、中国で「検閲を突破してツイッターを使えるほど」ネットを使いこなしているリベラルな層にとっては「アイドル的な存在」だという。
中国のネットユーザーがSNSを通じて政府を批判する傾向は、最近よく見られる。2011年7月、浙江省温州市で起きた高速鉄道の死傷事故では、マイクロブログ「新浪微博」で当局の事故対応を厳しく非難する書き込みが続出した。
また2010年にノーベル平和賞を受賞しながら現在服役中の民主活動家、劉暁波氏について、支持者たちはツイッター上で自分たちのアイコンに黄色いリボンの画像を付けることで、当局への抗議の意思を示していると、安田氏は話す。
しかし今回の艾氏のケースのように、巨額の追徴課税という当局の「いやがらせ」とも思える行為に対して、支持層が金銭的な援助といった具体的な方法をとったことは「画期的だ」と見る。ネットによる「反体制運動」は、政府を批判するコメントを書き込んだりデモを呼び掛けたりするという直接的なものに加え、リーダー的な役割を担える一部の人を具体的に支援する方法も今後、広がるかもしれない。
11月6日、艾氏はグーグルプラス上で、1万3610人から「貸付金」が寄せられ、その額は289万4917元(約3558万円)に上ったことを明らかにし「友よ、ありがとう」と感謝の意をつづった。一部報道では、7日の時点でおよそ5700万円に達しているとも言われている。