巨人が大慌てである。2年続けて優勝を逃しただけでなく、観客動員でも減少、ドラフトでは本命を指名できず、という由々しき状態。
真っ青になったフロントは野村ID野球にチーム建て直しを求める策に出た。
張本、落合、清原、そしてラミレス・・・伝統の「大物外様切り」
優勝を逃したときの巨人は大胆な動きに出る。今年の場合、最初に手を付けたのが大物の放出。アレックス・ラミレス外野手がその標的で、ヤクルトとのクライマックスシリーズ・ファーストステージで負けた(10月31日)途端、来季の契約を結ばないことが判明した。球団が起用を制限する、との意思を示したのに対し、ラミレスは、2000安打達成(あと150本)には常時出場、との考えが固く、それで決裂したという。ラミレスが拒否して退団することを見込んでの条件提示だったことは明らかである。
巨人はこれまで、外様の大物選手に対しては、賞味期限がくると、すっぱり切ってきた。最近では清原和博内野手がそうだった。ホテルに呼び出し、即座に「来年は戦力と考えていない」と縁切り通告している。その後、オリックスへ。現中日の落合博満監督も同じで日本ハムへ放出された。古くは張本勲外野手。3000安打を目前にしながらロッテに出された。
そして優勝のためには大金を惜しげもなくつぎ込んで他球団の主力を獲得する。それで優勝を手にするという大リーグのヤンキースが得意とする「小切手野球」だ。実は、このような戦力補強作戦が思わぬ弊害を生んでいる。自前の若い選手の夢と希望を打ち砕くからだ。ある二軍コーチ経験者はかつて「一軍で活躍できるところまで育ったところで大物選手を取ってくるから、その選手の働き場がなく、間もなく旬が過ぎてしまう」と語っていた。