ピザーラの宅配バイクが知人の飼い犬をひいたが、店側の対応が悪いとブログで暴露され、物議を醸している。店側は、「かなりの歪曲がある」と反論している。
ブログを書いたのは、歌手として活動を始めたLIMさん(38)だ。プロフィールによると、モデルなども経験している。
謝罪なく「犬は物なので補償しかねます」?
2011年11月2日付ブログ記事によると、LIMさんの知人で東京都内在住の飼い主女性は10月6日夕、2歳の子どもをベビーカーに乗せ、飼っているダックス犬2匹とキャバリア犬1匹も連れて買い物に出かけた。
そして、帰宅途中、普段から危険があると思っていたT字路を左に曲がろうとしたときだ。男子高校生が運転するピザーラの宅配バイクが右折してきて、3匹のうち7歳になるオスのダックス犬をひいてしまった。さらに、女性は、子どもをかばおうとして転倒し、腰を強打。そんな中でも犬を抱きかかえると、興奮した犬が女性の右手7か所と顔の口元に噛みついた。
この事故で、ダックス犬は、骨盤の骨を折るなどして手術までする重傷。女性も、頸椎捻挫や腰部打撲になり、左半身にしびれが残っているという。女性は、犬のリードを短く持ち、安全に気をつけながら道路の端を普通に歩いていたと主張。バイクがスピードを出し過ぎていたか犬に気づいていなかったかではないかとしている。通行人が事故を通報して、警察が調べている模様だ。
事故については、ピザーラの男性店長が翌日、女性の自宅に菓子折りを持って訪れた。ところが、女性によると、店長は謝罪すらせず、「犬は物なので補償しかねます」と言った。女性のけがについても、直接関係ないと謝罪・補償を拒否したという。ピザーラを展開するフォーシーズの本社担当者を呼ぶように求めると、フランチャイズ店なので自分が責任者として応じなかった。
店長は後に、保険による示談にしたいと言ってきた。しかし、女性は不信感が募っていたので、フォーシーズ社長に文書を書留で送った。この文書は受け取られず、郵便局で保管されているという。
「謝罪や補償をしないということはない」
ブログ記事が出ると、はてなブックマークが400以上つくほど、反響を呼んでいる。グーグル検索ランキングでも、「ピザーラ」が一時、急上昇ワードトップ10に入った。
ネット上では、ブログに書かれたピザーラ店長側の対応について、「真摯に謝罪くらいしなきゃな」「物でも損害分は保証するだろ」「普通に危険運転じゃね?」といった疑問が相次いだ。一方で、飼い主女性がベビーカーに加えて、犬3匹も連れていたことについて、「どー考えても危ないだろ」「危機管理もおかしい」「犬を轢かせるなよ 飼い主の責任」との指摘も出ている。
ピザーラの男性店長は、取材に対し、宅配バイクによる事故があったことは認めながらも、こう話した。
「ブログに書いてあることは、100%事実とは考えていません。かなりの歪曲があると考えています。謝罪や補償をしないということはないです。現在は、保険会社に任せて、対応している最中です」
スピードの出し過ぎや犬に気づいていなかったことは否定。「バイクは徐行して運転しており、犬も視認していました」。しかし、事故の原因については、交渉が進行中であることを理由にコメントを控えるとした。
ピザーラでは、30分以内に配達することを売り物にしている店も多い。店長は、「安全運転を第一に教育・指導をしており、スピードは出していません」と言う。
フォーシーズの宣伝企画部では、「この件に関しましては、事故の状況や対応などを確認中で、確認でき次第しかるべき対応をします」とだけ言っている。
ペットの事故に詳しい佐野隆久弁護士は、こう指摘する。
「ペットは物損扱いになるのは、間違いありません。一般常識からみて謝罪しないとしたらおかしいですが、ベビーカーに犬3匹を連れていたのも、無理がある感じもします。過失度合いは、歩行者の方が少なく、バイクの方が大きいのが普通です。補償の名目治療費としては、治療費とペット買い替えのうち、安い方の金額になります。歩行者の要因によっては、過失割合が減る可能性はあります。慰謝料支払いの請求は多いですが、99%認められないですね」