公共放送の将来像どう描くか
値下げによる受信料収入の落ち込みで、2013年度の事業収支は47億円の赤字を見込む。ただ、契約件数増や人員削減を図り、2014年度は10億円の黒字に転じるとしている。
今回の値下げ論議には、マスコミも批判的だ。26日朝刊やその後の社説なども含め、「数字の攻防に終始」(毎日)、「視聴者不在」(産経)、「公共放送 新時代の姿描けず」(朝日)、「成長戦略、具体性乏しく」(日経)など、手厳しい見出しが躍った。
実際、当初の案にあった国際放送への投資、後世のための震災アーカイブスの構築や災害対策の施設整備などは値下げ論議の中で吹き飛んだ。NHKオンデマンドの2013年度までの黒字化方針は盛り込んだが、民放が猛反発するインターネットへの同時配信などネット時代への対応といった成長戦略は「具体性に欠ける」(日経)。また、経営委の検討過程(5回の会合)が「支障が出る」と、一切明らかにされなかったことを問題視する指摘(毎日、産経など)もある。
決定後の25日の記者会見で、受信料引き下げを「値切った」松本会長は「経営リスクを勘案すると極めて重い決断」と、渋い表情ながら努力をアピール。一方、値下げをと迫り続けた数土経営委員長は、10%値下げの公約を果たせなかったことから、「トップが代わったからといって許されるものではない。国民、視聴者に申し訳ない気持ちはある」と陳謝するという奇妙な光景になった。