内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者で編集長を務めるジュリアン・アサンジ氏は、スウェーデンで女性2人に性的暴力を振るったとして2010年末にロンドンで逮捕(保釈中)され、スウェーデンへの身柄移送をめぐって法廷闘争を続けてきたが、ロンドンの高等法院は2011年 11月2日、アサンジ氏の身柄引き渡しを認めた一審判決を全面的に支持する判断を示した。この結果、年内にも同氏がスウェーデンに送還される可能性が強まった。
判決を言い渡されたあと、アサンジ氏は「これから次ぎのステップを考える」と記者団に語った。2審の判決を不服として最高裁へ上訴することは可能だが、同氏は2週間以内にその決断を下す必要がある。
上告棄却になれば10日以内に身柄引渡
その次のステップは、2審の担当裁判官2人が協議して上告を認めるか否かを決定することになる。その協議期間は3週間だ。上告棄却になれば10日以内に身柄が引渡されるので、12月中旬までにスウェーデン行きが実現するかもしれない。
アサンジ弁護団としてはこの事態を何としても回避したいので、身柄の移送は「人権違反」として欧州人権裁判所に訴える可能性も検討しているようだ。そうなれば、決着まで更に時間がかかることになる。
もう一つの障害はお金である。アサンジ氏は控訴して敗れたので検察側の裁判費用を肩代わりする義務が生じている。金額は1万9千ポンド(およそ236万円)ということだが、同氏弁護団はこの費用についても異議を唱える戦術のようだ。同氏は2010年12月に逮捕されたあと保釈が許可されたが、ノーフォークで「軟禁状態」になっているので、金銭的にも行き詰まっているとの見方がある。