プロ野球の横浜ベイスターズの球団売却の発表が2011年11月4日にも行われる公算が大きくなった。
売却後の球団名に、サービス名「モバゲー」を入れるかどうかがネックになり、一度は延期された発表だが、保有するTBSホールディングス(HD)と売却先のディー・エヌ・エー(DeNA)の交渉は最終段階。DeNAは社名変更の可能性も口にしており、落としどころが注目される。
ソフトバンク孫オーナーにも根回し
TBS側が球団を売却するためには、プロ野球全12球団中、9球団の賛成を得る必要がある。このことから、DeNAは各球団への根回しを活発化している。例えばソフトバンクの孫正義オーナーは10月27日の決算会見で、
「先日、ディー・エヌ・エーの経営陣の方が初めて私どもの会社を訪問されて、参入の強い意志と、なぜそれを行いたいか説明をうかがった。あわせて、これに強く反対する方々もいる。両方の意見をしっかり聞いて、最終的な意見を持ちたい」
と、その一端を明かした。
だが、球団名に社名の「DeNA」ではなく主力サービスの「モバゲー」を入れる案に一部の球団が反発。この影響で、10月28日に予定されていた売却の発表が延期になった。その上、同日夜には「球界のドン」とされる巨人の渡辺恒雄会長も同様の見解を示し、DeNAは苦しい対応を迫られていた。
DeNA社長、球団名は「何かしら変えたい」
DeNAの守安功社長は、その3日後の10月31日の決算会見で、
「ぼほ最終といいますか、かなり最終に近いような形で、今話しを詰めている。何とか参入して、球団運営の方に関わっていきたい」
と述べ、何らかの「着地点」が見えたことを示唆した。その後の囲み取材では「横浜ベイスターズ」という球団名を変える可能性について、
「何かしら変えたい」
と断言。だが、具体的な名称については、
「モバゲーがいいのか、それともサービス名を何かしら変えるのか、それを含めて考えているので、何をどうするかを総合的に考えている」
「社内でどうしたいかという思いがあって、球界のルールだとか、世の中の反応だとかを踏まえて総合的には変えたい」
と慎重姿勢だった。社名を変えることについても
「選択肢としてはある」
と述べ、社名を「モバゲー」に変更してでも「モバゲーベイスターズ」の名前を採用する可能性を示唆した。渡辺氏も10月31日、社名を変更した上であれば、「モバゲー」でも問題ないとの見方を示している。
12年6月の株主総会で社名変更?
ただ、社名(称号)を変えるには定款の変更が必要で、そのためには株主総会での議決が必要だ。社名変更のためだけに株主総会を招集するのは現実的ではないことから、仮に社名を変更する際は、株式総会が行われる12年6月になる。このことから、売却後も、12年のシーズンについては、暫定的に現行の「横浜ベイスターズ」の球団名で参入するとの見方もある。
なお、パリーグのソフトバンクが04年にスーパー大手のダイエーから球団を譲り受けた際には、孫正義氏は500以上の球団名を検討。ソフトバンクの子会社が展開する「ヤフー!BB」といったサービス名を冠するものや、「福岡」「ホークス」の単語がない案も多数あったが、地元財界をはじめとする強い要望で「福岡ソフトバンクホークス」というオーソドックスな球団名に落ち着いた経緯がある。