「雪男ツアー」で売り出したい?
WSJによると、今回の会議の開催にあたってはロシア当局から資金的な援助が出たという。調査隊や報道陣が、雪男の目撃情報があった山間部に入る前、「儀式」として民族衣装をまとった現地の人が野外で歌い、それにあわせて雪男の着ぐるみが踊る場面が見られた。しきたりのようだが、地域色を出す観光サービスのようなにおいがしないでもない。シベリアの辺境で経済的にも豊かとはいえない地だけに、政府当局側がこの地域を「雪男ツアー」で売り出し、観光化を促進して収入につなげていきたいとの思惑もありそうだ。
それにしても、ロシア側の雪男発見にかける意気込みは並大抵ではない。ケメロボ州の州立大学には「雪男研究所」まで新設し、今回の国際会議でも主要な役割を担ったブルツェフ氏を所長に据えるという。ブルツェフ氏は2011年3月、英デイリーメール紙の取材に対して「ロシアでは、約30人の権威ある科学者が雪男の研究をしているが、今後はこれらの科学者を新研究所に集め、一元的に研究を進めていく」と説明、雪男との接触を目標に掲げた。
今回の国際会議では、雪男がケメロボ州に生息する可能性は95%と極めて高い数字が発表された。地元の住民からも「真っ白な毛で覆われた巨漢の生物を見た」といった話は出ている。しかし目撃証言は多いがどれも確証はなく、「95%」の根拠も不明。実地調査でも、「足あと発見」以外は特筆すべき成果は得られていない。