アマゾン電子書籍契約は妥当か無茶か 大手は反発、中小は興味示す?

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   ネット通販最大手の米アマゾンが各出版社に電子書籍の契約書を送ったと報じられ、その内容が妥当か無茶かどうかを巡って論議になっている。

   日経が2011年10月20日付朝刊1面トップでアマゾンが日本で年内にも電子書籍事業に参入とスクープしたのに続き、今度は一部メディアがその「契約書内容」を報じた。

売り上げの55%をアマゾンになど

   それは、ライブドアのサイト「BLOGOS」が29日に配信した「『こんなの論外だ!』アマゾンの契約書に激怒する出版社員」だ。

   記事によると、アマゾンは、10月上旬に日本の出版社約130社を集めた説明会を都内で開き、出版社には、それから数日後に「KINDLE電子書籍配信契約」が送られてきた。

   そこでは、すべての新刊を電子化してアマゾンに提供し、出版社がそうしないときはアマゾンが電子化すること、アマゾンの推奨フォーマットでは、売り上げの55%をアマゾンのものとすること、書籍より価格を低くすること、そして、出版社が著作権を保有すること、などの条項が挙げられていた。アマゾンへの回答期限は、10月31日までになっている。

   記事では、説明会に参加したある中堅出版社の怒りの声を紹介した。その書籍編集者は、いずれも出版社側には不利となる内容で、特に、出版社が著作権を保有するのを1か月以内に決めろというのは無理難題だと反発している。欧米流の著作権管理だが、著者から了解を取るなど難しい手続きが必要だからだ。

   こうした契約書内容は、本当なのか。

   日経が「詰めの交渉」中と報じた小学館や集英社では、それぞれ「交渉は進展しておらず、内容も守秘義務があるのでお答えできません」「(日経で)報道されている事実はありません」とだけコメント。交渉中という講談社でも、「契約状況はまったく明かせません」とした。一方、日経がアマゾンと合意したと報じたPHP研究所(京都市)は、その報道を否定。検討中ではあるものの、まだ合意していないとし、内容については、「守秘義務がありますので、一切話せません」と言っている。

大手は「無茶」多く、中小の一部は理解示す

   アマゾン・ジャパンに取材すると、広報部は外出中だったため、契約書内容の事実関係は確認できなかった。

   もし内容が本当だとすると、出版社には受け入れられるものなのか。

   ある大手出版社の担当者は、アマゾンの契約書について、「あんな無茶な要求は、飲むわけがありません」と明言した。特に、出版社が著作権を保有するという条項については、著作物の複写などを認める著作隣接権を出版社が求めても著者らが拒否しているような状況で、実現させるのは難しいと指摘した。

   また、この出版社はアマゾンと交渉中だが、飲めない条項ではそもそも交渉しない。こうしたことから、担当者は、「同一の契約書を配っているとは思えませんね」として、アマゾンが中堅出版社などとの二刀流を使っている可能性を示唆した。

   アマゾンと交渉している別の大手出版社では、出版社が著作権を保有という条項の話はないといい、「そんな厳しいことは無理では」と漏らした。売り上げの55%をアマゾンのものとすること、すべての新刊を電子化してアマゾンに提供することなどの提示もなかったという。

   一方、中小の出版社からは、アマゾンの条項は必ずしも法外とは言えないとの声も出ている。ある出版社は、契約書は来ていないとしながらもこう話す。

「55%は法外かもしれませんが、出版社に入る利益は、紙と大差ないんですよ。電子書籍なら、取り次ぎへの支払いや印刷などのコストがかからないからです。著作権の保有についても、アップルがiTunesを手がけたときに無理とぼろくそに言われながら成功していますし、ケースバイケースでしょう。大手の営業の力が強くて本をなかなか書店に卸せない中小の出版社にとっては、逆にチャンスかもしれないですね」

   ネット上でも、アマゾンの契約書について、賛意を示す書き込みも多い。「半分以上とかボリ過ぎだろ」といった指摘もあるが、「消費者は望んでいます」「動揺してたら作家と直接取引し出すぞ」との声が出ている。

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