半導体メーカーのローム(京都市右京区)が、毎年行っているクリスマスのイルミネーションを2011年は中止することがわかった。
「イルミネーションの点灯時間が冬の電力需要のピークと重なる」ことが理由だ。
「電力不足の心配というよりは自粛が理由」
11年10月31日、公式サイトのニュースページで「本年は、東日本大震災後の電力需要の逼迫に伴って、冬季も10%程度の節電要請がなされることが確実となり、冬季は節電のピークが朝夕で、イルミネーションの点灯時間と重なることを考慮し、実施を自粛することといたしました」と発表した。
ロームのイルミネーションは1995年からスタートした京都の冬の風物詩だ。例年11月末からクリスマスまで本社周辺の並木道を中心に、約60万個の電球や自社製のLEDを点灯させており、多くのカップルや家族連れでにぎわっている。
広報によると、今回の中止はあくまで「節電ムード」の中での自粛という形で、イルミネーションの点灯によって深刻な電力不足が発生したり、大規模な停電が発生したりという懸念からではないとのことだ。
なお、ロームのイルミネーションの中止は開始以来2度目。米同時多発テロが発生した2001年にも自粛していた。
中止の知らせを受けて、ツイッターでは「毎年楽しみにしていたので残念」「今年は静かなクリスマスになりそうですねぇ…」「まーしょうがないわな」などとつぶやかれている。
ルミナリエ、御堂筋などは例年通り実施
そのほか関西地区の有名なクリスマスイルミネーションには「神戸ルミナリエ」(兵庫県)、「御堂筋イルミネーション」(大阪府)、「冬ほたる」(京都・琴滝公園)、「海遊館ウィンターイルミネーション」(大阪市)、「OSAKA光のルネサンス」(大阪市)などがあるが、上にあげた5つはいずれも11年の開催を発表している。「節電」を理由に中止を決めたのは今のところロームだけのようだ。
関西電力は11年10月14日に関西広域連合との協議で、企業や家庭に「節電」を要請する考えを明らかにしている。原子力発電が全体の約4割を占めており、稼動停止中の原発の運転再開が難しいことで深刻な電力不足が予想される。
こうした中でのクリスマスイルミネーション点灯となりそうだが、大規模な停電などの心配はないのだろうか。
関西電力は「それぞれのイルミネーションの消費電力量がわからないので何とも言えない。冬は電力が逼迫する見通しで厳しいことが予想されるが、企業や一般家庭への節電の要請を行うか否かも現在調整中だ」と話している。