通勤や通学に自転車を使う人の増加、また歩道を猛スピードで走り抜けるなどのマナーの悪さが原因で、自転車による交通事故が多発。しかも、最近は歩行者が死傷する大事故が急増している。
そうしたことから、損害保険会社が取り扱う「自転車保険」への注目度がアップ。保障が手厚く、また加入しやすくなってきた。
「100円 自転車プラン」11月1日から本格スタート
2011年5月に開業したばかりのモバイル専業のau損害保険は、開業記念として10月末まで販売している「100円 自転車プラン」を、あまりの反響の多さに11月1日から「定型化」して取り扱う。「死亡後遺障害、400万円」、「個人賠償責任の最大1000万円」の保障はそのままに、保険料の「月々100円」にこだわった。
「100円 自転車プラン」は、そもそも若者や女性をターゲットにした商品で、「アプリ感覚で買える商品設計にした」ことが奏功し、人気を呼んだ。
加入者の約半数が20~30歳代、3分の1が女性。なかでも「子どものために加入する母親が多いです」(au損保)と話す。
入院一時金や入院日額などの保障やより高額な補償を備えたい人には、補償内容を充実した「自転車ワイドプラン」を選べるように品揃えした。
また、三井住友海上火災保険はコンビニエンスストア最大手のセブン‐イレブン・ジャパンと提携して、2011年11月中旬から全国のセブンイレブンで「自転車向け保険」を販売する。交通事故によるケガを補償する傷害保険に、他人のモノを壊したり、他人にケガをさせてしまったときに補償する日常生活の賠償特約をセットした。
情報を入力、レジで保険料支払うと手続き終了
保険期間1年の掛け捨て型で、全国1万3589店(8月末時点)のセブンイレブンのマルチコピー機に氏名や住所などの加入に必要な情報を入力し、レジで保険料を支払うだけで加入手続きが完了する。
個人型、夫婦型、家族型の3タイプを用意。保険料はそれぞれ4760円、7000円、1万1720円で、傷害死亡・後遺障害や傷害入院保障、対人・対物損害賠償(日常生活特約)が最大1億円と手厚いのが特徴だ。
警察庁の統計によると、自転車による交通事故は、事故全体が減少傾向にあるにもかかわらず、2010年の自転車の割合は20.9%と4年続けて2割を超えた。
このうちの多くは自動車との接触事故だが、自転車同士や歩行者との事故では、自転車に乗っている側が加害者になるケースが増えている。死傷事故となると5000万円超の賠償金の支払いを命じられることが少なくなくなっていて、それに伴い保険の補償額も高額化してきた。
事故の急増と賠償金が高騰する一方で、自転車専用の「自転車総合保険」は保険料が安いため、損保各社は採算が合わずの販売を中止。一般の交通事故傷害保険や個人賠償責任保険、火災保険など他の保険の特約で自転車事故の補償をカバーしていた。
しかし、自転車保険のニーズの高まりから、従来の保険代理店を通じた販売方法をとらず、インターネットやケータイ、コンビニ、またクレジットカードの保険サービスといった「接点」を活用しながら、対応し始めた。