100億円負けたかどうかは不明
今回の大王製紙の件に戻ると、「カジノ側の口座」の性格がはっきりしないため、何とも言えない。ただ、一般的に考えると、総額100億円がほぼ全額負けた分の可能性もあるし、逆にあくまで保証金の総額であって、「ギャンブルの勝敗はトントン」といったことも考えられる。
とはいえ、「大王製紙の100億円」が保証金として満額残っているとは考えにくく、負けや「寺銭」支払いが続いた結果、保証金の積み増しなどでずるずると入金が増えていったとみる方が自然のようだ。
また、報道をみていると、例えば「2億円使う(動かす)」という表現と、「2億円負ける」が混同されている例がある。1億円を2回使い、1勝1敗なら「2億使い、手元には最初の1億が残りトントン(寺銭を除く)」だ。「2億負けた」わけではない。
それにしても、なぜ1回に何百万も何千万円もかける人たちがいるのか。負けた分を取り戻そうとしているのか。
実は、こんな「密の味」があるそうだ。主に高額テーブルには、配られたカードをめくる権利が、「AとB」それぞれの最高掛け金の人に与えられる。「AとB」の間の勝負は「自動的」に決まるため、普通はカードを配るカジノ側ディーラーが「AとB」のカードをめくってしまう。
「権利者」がカードをめくる場合、権利者には勝敗にかかわる判断をする余地は全くないのだが、「他人より早く、自分がかけた(AならAの)カードの数字を知ることができる」わけだ。
じわじわと少しずつ時間をかけてめくり、その間のスリルを味わいたがる人や、やはり「見栄」から「他人ではなく自分が」めくりたいと、他の客と「最高額」をめぐって値段をつり上げていく人が出てくるのだ。
なんとも「恐ろしい世界」にもみえてくるが、高橋氏は「分相応の楽しみ方をすれば、怖くなんてないし、他にはない味わいがある世界です」とカジノの魅力を語った。
さらに、「お金持ちの人達は、お金もうけのためではなく、カジノ側からの特別待遇や他の客からの羨望の眼差し、などを楽しむためにやっている部分もあります」と話した。