巨人「単願」になるかどうかは原監督の助言次第?
今後、菅野がすんなり日本ハムと交渉に応じるかどうか。かなりのショックを受けた感じだから、それこそ原監督の言葉が影響を与えると思う。「巨人とは縁がなかったということだ」と現実を直視させるか、あるいは「次のチャンスを待て」と夢を持続させるか。いずれにせよ。監督、身内と両面で気が重いだろう。
巨人にあこがれる選手は、他球団に指名されると拒否することが少なくない。米国で1年過ごした後、阪神に指名されながら巨人と契約して騒動となった江川卓投手(当時・法大)の事件はあまりにも有名だ。その後、元木大介内野手(同・上之宮高)は浪人して1年後に入った。そして長野である。
菅野がその先輩たちにならい、社会人、あるいは米球界に行って次に備えるということも考えられる。そうなった場合、つらい立場になるのは原監督。陰で知恵をつけている、と痛くもない腹を探られることだろう。
日本ハムも大変である。藤岡、野村は指名されると、ロッテの西村徳文、広島の野村謙二郎両監督が学校に駆け付け、がっちり握手して記念写真を撮った。菅野の場合、そんな雰囲気ではない。担当スカウトはどう菅野に対し交渉のきっかけをつくるのか。
かつてドラフトは思わぬ方向に行ったことがある。国会で「職業選択の自由に抵触するのではないか」と問題にされたり、拒否選手が暴漢に襲われたこともあった。また、1位指名選手に入団を拒否され、責任を感じて自殺した担当スカウトがいた。ドラフトは怖い裏側を持つ制度でもある。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)