日ハムの果敢な挑戦に楽天・星野監督も「球界のためにもよかった」
相手が巨人ということを考えると、日本ハムの挑戦は果敢であり、見事というほかはない。楽天の星野仙一監督が「日本ハムは勇気がある。球界のためにもよかった」と言ったが、全くその通りで、ドラフト会議が真剣勝負の場であることを世間に示したともいえる。
日本ハムの菅野指名は、巨人との因縁を思わざるをえない。ドラフトでは、日本ハムは苦い経験がある。
昨年の新人王で今年の首位打者を獲得した長野久義外野手にまつわる一件だ。06年のドラフト会議で当時日大の長野を4位指名した。結果は「巨人しか行かない」と拒否され、獲得に至らなかった。日本ハムの長野担当スカウトは面子丸つぶれだった。あえてうがった見方をすれば、日本ハムが、長野の裏に巨人あり、と思っても不思議はない。
菅野のケースは、日本ハムのリベンジ、という構図になっている。因縁とはそういうものなのだ。長野は日本ハム拒否の後、社会人のホンダに就職してチャンスを待った。08年のロッテ2位指名も断り、09年のドラフトで夢をかなえた。
戦力補強からみれば、日本ハムの来シーズンは投手陣に大きな不安が予想されている。エースのダルビッシュ有投手が大リーグに行く可能性があるからだ。球界一の投手が抜けたら勝負にならない。どうしても即戦力を獲得する必要があった。おそらく右の菅野、左の藤岡に狙いをつけたはずである。各球団の動きを見たとき、藤岡には数球団まで競合する可能性があるのに対し、菅野は巨人だけ、と読み、それなら確率5割を選択、との判断をしたのだろう。