自由報道協会の上杉隆暫定代表が、同協会が主催する会見のルールを守らなかった読売新聞記者に対して激しく抗議した問題で、読売新聞が2011年10月27日の紙面で特集記事を掲載した。
記事では一連の経緯を振り返る一方、協会から抗議を受けた記者が「ルール違反と過剰に騒ぐことは、会見者を追及から守ることにしかならない」と主張。これに対して協会側は、「公平な質問機会を提供するため」と、ルールの正当性を主張している。
読売記者「司会の指示を振り切らなければならないことはある」
特集記事は、メディア関係の話題を掲載する面に「小沢元代表会見 本紙記者へ激しい抗議」と題して掲載。読売新聞が記者会見のあり方について、大きなスペースを割いて報じるのは異例だ。
記事は(1)読売新聞社会部の恒次徹記者が司会者の指示を振り切る形で質問を続け、上杉氏が抗議し、その様子がネット中継されるなど一連の経緯の説明(2)小沢氏と恒次記者とのやり取りの要旨(詳細はウェブサイトに掲載)(3)恒次記者の同僚記者による解説、恒次記者と上杉氏によるコメント、の3部構成。
記事によると、10月26日時点で読売新聞社に141件の電話とメールが寄せられ、直後はそのほとんどが恒次記者に対する批判。ただし、「同じ文言のメールが多数あった」とも指摘している。
また、解説部分では、「1人1問」というルールのあり方について反論を展開。見出しには「当然すべき取材」とある。小沢氏が質問にきちんと答えなかったことについて、
「そのことをさらに追及しようとした時、司会者に制止されたのだ。これを振り切らないと、元代表の見解は引き出せない」
と主張。「本紙が…虚偽記入のあることを報じたのは2年前」と、長期間、陸山会事件を追及する読売社会部の意地と執念をにじませた。
恒次記者も、
「司会の指示を振り切らなければならないことはある。ルール違反と過剰に騒ぐことは、会見者を追及から守ることにしかならない。ジャーナリストが、なぜそのようなことをするのか理解に苦しむ」
と、「ルール破り」を正当化した。
また恒次記者が質疑応答に要した時間は約4分30秒で、その後の4人からの質問は平均5分を費やしていたと書いている。