韓国の女優キム・テヒさん(31)主演のフジテレビ系ドラマで、「竹島」「日本海」と表記された地球儀が映され、韓国メディアなどで物議を醸している。
TBS系ドラマ「南極大陸」とのバッティングが注目された「僕とスターの99日」。2011年10月23日の初回視聴率は、この日の南極大陸が19.0%だったのに対し、10.2%となった。
韓国のネチズンが反発、メディアも批判
韓流の流れをくむドラマだったが、そのワンシーンに韓国メディアなどからクレームが付いてしまった。ドラマが後半に入ったとき、子役の1人が「韓国ってどこ?」と尋ねた。そして、もう1人の子役が、地球儀を回し、「あっ、ここが韓国」と指差したときだ。
大写しになった地球儀には、「竹島」「日本海」の表記が出ていたのだ。
韓国では、日本固有の領土である竹島を「独島」と呼び、領有権を独自に主張している。また、国際的に認知された「日本海」の呼称に反発し、「東海」という韓国固有の呼称にするよう各国に働きかけている。ドラマには、自国の女優も出演しているだけに、韓国のネチズン間で反発が広がり、韓国メディアもこれを批判的に取り上げた。
韓国のネットメディアでは、「僕とスターの99日」の番組スタッフが、ツイッターで事情を説明したとも報じた。それによると、フジテレビでは、日韓の問題にならないように、「竹島」などの表記をグラフィック画面からいったん削除した。しかし、最終的な編集過程で、それが反映されなかったというのだ。そして、ドラマについて、今後の放送や発売するDVDでは、削除された画面が出るようにするとしたとしている。
竹島の問題に関して、主演のキム・テヒさんには、日本のネット上で起用に反発が出た経緯がある。2005年春にスイスで、日本の竹島を韓国の領土とするキャンペーンに参加した、と韓国メディアに報じられたからだ。
実際、政治的メッセージを発信しようとしたのは事実のようだ。
女優の政治活動にフジ「あずかり知らぬ」
スイス政府観光局日本支局によると、キム・テヒさんは、韓国の観光客をスイスに呼び込むプロモーションビデオ撮影などのため、観光親善大使としてスイス入りした。ところが、チューリッヒ空港で、政治的なメッセージのあるTシャツを持って配ろうとして、韓国支局の職員に制止された。スイスは、領有権については政治的に中立で、プロモーションでは、政治的な活動が認められないためだ。
在日スイス大使館の文化部では、取材に対し、キムさんは同意なしにTシャツを着たため、観光局が強く抗議をしたことを明らかにした。日本支局では、Tシャツは着ていなかったと説明しているが、「認識は、文化部とほぼ同じです」としている。
もしフジテレビが「竹島」などの表記を不自然に削除しようとしているとしたら、こうした経緯も考慮したのか。2011年10月27日未明の初回再放送では、表記画面が削除されてしまうのか。
フジテレビの広報部では、再放送について「そのまま流します」と削除を否定。今後についても、「特に何かをすることはありませんので、コメントのしようがありません」と話した。
スタッフがツイッターを書いたことも、「プロデューサーに確認しましたが、そうした事実はありません」と否定した。
政治的活動の経緯については、「そのようなことはあずかり知るところではありませんので、コメントしかねます」と言っている。「竹島」などの表記について、視聴者からの意見も特に来ていないという。