「子どもの甲状腺機能に異常」報道は行き過ぎ 専門医学会が「原発と結びつける理由なし」

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   「福島から避難した子どもたちの甲状腺機能に変化があった」として、福島第1原発の影響を疑う声が相次いでいる。ところが、子どもの甲状腺の専門医などでつくる学会が、調査データを取り寄せて分析し、「放射線被ばくと直接結びつけて考慮すべき積極的な理由はない」との見解を発表した。どうしてこうなったのか。

   波紋が広がっていたのは、長野県松本市のNPO法人「日本チェルノブイリ連帯基金」(JCF、鎌田実理事長)と信州大学医学部付属病院が行った調査。

各紙は「甲状腺機能に変化」などと見出しに付け、不安が広がる

   JCFがウェブサイト上に公表している資料によると、長野県茅野市などが2011年7月から8月にかけて、福島の子ども達290組813人を招待。事前アンケートで頭痛や腹痛、鼻血を訴える子どもがいたことから、73家族130人が信大病院の診察を受けた。検査項目は問診、尿検査、血液検査。それ以外にも、甲状腺障害も懸念されていたことから、甲状腺ホルモン検査も行った。

   この結果、(1)1人の甲状腺ホルモン(遊離サイロキシン)が基準値を下回った(2)7人の甲状腺刺激ホルモンが基準値を上回った(3)2人は、甲状腺ホルモンの合成に必要なタンパク質「サイログロブリン」が基準値を上回った、ことが明らかになった。

   JCFでは、10月初旬になって、この結果を公表。発表では、「原発との関係は分からない」とされたが、JCFの鎌田実理事長(諏訪中央病院名誉院長)が報道陣に、

「色々意見はあるが、被ばくの可能性は捨てきれないと思う」

などと発言したこともあって、各紙は「甲状腺機能に変化」などと見出しに付けて報じた。このことから、あたかも原発が原因で甲状腺に異常が生じたかのような不安が広がっていた。

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