サッカーワールドカップ・ブラジル大会の予選で、北朝鮮にサッカー日本代表が22年ぶりに遠征する。日本からも多くのサポーターが北朝鮮に渡ることが想定されるが、現在日本と北朝鮮は国交がない状態にあり、政府も対応に苦慮している。
2011年11月15日、北朝鮮の平壌でW杯ブラジル大会のアジア3次予選、日本対北朝鮮が行われる。
政府の渡航自粛要請には強制力なし
会場となる平壌の金日成競技場は収容10万人と言われ、マスゲームの会場となることもある。観客席が北朝鮮の国民でほとんど埋まるとしたら、日本代表にとってはかなりきついアウェー戦となる。
日本政府は北朝鮮の日本人拉致問題や核実験を理由に経済制裁を行い、北朝鮮への渡航についても目的問わず国民に自粛するよう要請している。ただ、強制力がないので、アウェーで戦う日本代表を応援しに行こうというサポーターもいて、一部旅行業者も北朝鮮観戦ツアーを企画している。
スポーツの観戦ツアーを専門的に扱っている旅行業者、セリエが企画した北朝鮮ツアーには、10月25日までに、46人の申し込みがあった。サポーターから「行っても大丈夫ですか?」という質問が多かったので、ツアー実施に当たり、スタッフが事前に現地視察を行ったという。
「北朝鮮対ウズベキスタン戦ではブーイングも起きなかった」
「10月中旬に行われた北朝鮮対ウズベキスタン戦を観てきました。どうなるのかなと思ったのですが、会場入りするウズベキスタン代表にブーイングが出ることもなく、北朝鮮が1対0で負けても観客は大人しかったです」
北朝鮮は05年に平壌で行われたW杯ドイツ大会予選のイラン戦で、観客が暴徒化。FIFAが制裁措置として日本戦が中立国のタイ・バンコクで行われたという経緯があるが、視察の結果、暴動が起こることはないと判断した。また、北京から平壌への飛行機便は乗客の8割が欧米人だったといい、外国人観光客も多く訪れているとしている。
外務省広報文化交流部は、「政府全体として渡航の自粛をお願いしている。北朝鮮には大使館がないので、何かあっても特別なことがない限り急な対応ができない」とするも「渡航する人には改めて注意喚起し、政府としても不測の事態を避けるよう、遺漏のないようサポート態勢について考えている」としている。