公務員給与引き下げ難航の舞台裏 野党と連合、両者が賛成する案などない

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「人事院勧告の見送り濃厚」報道が出始める

   政府は給与関係閣僚会議での議論を始めているが、選択肢として、人勧のみ実施するか、人勧を無視して特例法案をあくまで成立させるか、まず人勧を実施した後に特例法案の成立も図るか――などが考えられる。さらに、人勧を実施し、7.8%引き下げも実施する場合、①人勧を実施した上で勧告分を差し引いた特例法案を再提出する②自民党に配慮して公務員法案を切り離し、特例法案を先行して処理する――といった打開策も浮上している。しかし、いずれの場合も、協約締結権付与の公務員法案成立の見通しは不透明で、どんな「折衷案」をまとめても、野党と連合の理解を同時に得られる保証はない。

   ここにきて、「勧告の見送り濃厚に」(10月16日共同通信社電)、「人勧実施見送り 調整」(19日読売新聞)など、観測気球とも思える報道が出始めている。「人勧より削減幅の大きい特例法案を出しているのだから、人勧を実施しなくても、直ちに憲法に反するということにはならない」(政府筋)という理屈のようだが、ことは労働基本権制約の代償だけに、人事院はこうした政府サイドの動きに強く反発する。タイムリミットが迫る中、野党と連合の間でどう決断するか。民主党はマニフェストで「2013年度までに国家公務員の総人件費2割減」という目標を掲げているだけに、 野田佳彦首相は難しい判断を求められている。

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