政府は2011年10月21日、「円高への総合的対応策」を決定した。円高による「痛み」の緩和、リスクに負けない強じんな経済の構築、円高メリットの徹底活用――の3つが柱で、予算規模は約2兆円。東日本大震災からの復興費用と合わせて、11年度第3次補正予算案に盛り込んだ。
産業の空洞化を防止する目的で、企業の国内立地に対する補助金の拡充に5000億円、省エネ・新エネ導入支援の一環として創設される「節電エコ補助金」には2000億円程度を計上。介護や環境・エネルギー分野の雇用創造事業の基金として2000億円を積み増すほか、雇用調整助成金の要件を緩和して雇用の下支え策を強化する。
加えて、円高対策の進捗状況を管理する「景気対応検討チーム」を設置する。円高メリットの活用を強化するため、財務省が8月に発表した「円高対応緊急ファシリティ(基金)」を拡充する。外国為替資金特別会計を使った国際協力銀行への融資枠を10兆円規模に増額。国内企業による海外企業のM&A(合併・買収)を活性化させる。