全日本空輸(ANA)の伊東信一郎社長が2011年10月20日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見に臨み、同社が世界で初めて導入した次世代中型旅客機のボーイング787型機(B787)について「ビジネスチャンスを大きく膨らませてくれる」と、改めて期待感を示した。また、3年半以上納入が遅れたことに対する補償交渉が、ほぼ合意に達したことを明らかにした。また、日本政府の観光客誘致政策について「なかなか知恵が出ていない」と批判。記者を驚かせる一幕もあった。
ボーイング787納入遅れ、補償交渉は「ほぼ合意しているところ」
伊東社長は、B787を「ゲームチェンジャー」と表現。従来機と比べて燃費性能が約20%改善され、航続距離が大幅に伸びたことから、
「従来は収益が見込めないところでも、就航が可能になる。ビジネスチャンスを大きく膨らませてくれると期待している」
と話した。また、不具合などで納入が3年以上遅れたことについては、
「影響があったのは事実だが、退役予定の機材を延長して使うであるとか、ボーイング社との関係で「つなぎ」の(ボーイング767型機などの)機材を導入するなどして、事業計画上、大きな変更が生じるということはなかった」
と、影響は限定的だと強調する一方、補償交渉については
「ほぼ合意しているところだが、これは守秘義務があるので、オープンにはできない」
と、最終段階にあることを明かした。また、B787の初期モデルは、当初の想定よりも重量が重くなっていることが明らかになっており、
「重量が重くなれば、燃費効率も悪くなる。これも補償の対象になる」
と述べた。